肩を寄せ合い眠る(死ねた注意)

[中学生滝×成人済ロゼ]

とあるマンションの一室。
其処には二人の男女が
テーブルを挟み腰かけていました。
二人は手にしているワイングラスを
くるくると回し立ち外の風景を眺めたり。
ワイングラスには決して口をつけませんでした。
二人はお互いの顔を見合って
微笑み
「萩くんはお酒初めてよね?」
「うん、俺未成年だから。だから
これが最初で最後の犯罪だね」
額同士をコツリと合わせて幸せそうに笑いあう二人
楽しく幸せな時間というものは早く過ぎてしまうもの。
掛けてある時計の針の長針短針が一番上になれば
二人のケータイから無機質な電子音が響き渡ります。
二人はその音を聞いて椅子から立ち上がりました。
そして
「ロゼ、いこうか」
萩之介はロゼのななめ前へ立ちロゼの手を取ります。
「そうだね、…いこうか。」
片手には先程のワイングラス。
それを持ったまま大きな窓に向き合い
寄り添うように座りました。
そして至極小さな声で
「終わらせることができるんだね。」
「うん。本当にもうすぐ終わるんだよ」
「さようなら、萩くん。」
「…さようなら。ロゼ、」
そう告げあってどちらからも唇を押し付けて
触れるだけの口付を交わした後に
「「乾杯」」
グラスとグラスを合わせその中身を飲み干しました。
飲み干してからというものはそれはとてもとても
楽しそうで
お互いの家の事部活の事会社でのできごと
様々なことが二人の口から語られていきました。
暫くの間おしゃべりをしているうちにロゼには
眠気が一気に押し寄せてきました。
何もいう事は無く眠気に抗うこともせず
もう覚めることのない眠りについてしまいました。
「もう、いっちゃったかな」
もたれかかる体重に気が付いた萩之介。
彼女の胸部や腹部に注目をしてみても
彼女の体はもうどこも動きません。
彼女の頭に自分の頬を寄せ
「来世が俺たちにあるのかな。
生まれ変わったら、なんて。」
-君は望まないね-
そう続けて呟けば段々と重くなる瞼。
「(後もう少しだけ、時間を。)」
彼女に今まで伝えることのできなかったことを
彼女にしてやれなかったことを。

時間が無い、その事を悟った萩之介は
隣で眠るまだわずかに体温の残るロゼに
自分の唇を何度も落としました
ぼろぼろと涙を流しながら、何度も
自分の体温を分け与えるかのように抱きしめながら。
「ロゼ、だいすき」
僅かに残る力でロゼの手を手繰り寄せ
貝殻のようにしっかりと握りしめ
萩之介は涙を流しながら目を閉じました。
手を握っている萩之介の手からも力が抜けていき
やがては添えるだけの形となっていました。

結ばれる事のない恋をした二人は
自分たちの望む形で結末を迎えたのでした。

 /.ある本にこんな物語があった。
  (最後の文字は震えていて)
  (何故かインクが滲んでいた)

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