はじめてのプリクラ(ふじかお編)


「ねえ薫さん。今日は暇かな?」
隣の席に座る僕の彼女、薫さん。
僕たちは俗にいう恋人なんだけど
一度もそれらしいことをしていなかった。
理由は言わずもがな僕の部活の忙しさ。
それでも薫さんは黙って応援してくれていた。
でも今日はコート整備があるらしく部活は休み
姉さんや英二にプリクラでも撮れば?と
提案をしてもらった。
それを今日。実現できればな、そう思って
結構勇気を出して誘ってみた。
結果は勿論OK.今は目的地へ向かっている途中だ。
「最近は冷えて来たね、風邪とか気を付けるんだよ?」
「あ、う。、うんっあり、がと…!」
顔を僅かに赤くしてへらりと笑う薫さん。
薫さんは人と話すのがあまり得意ではないらしい。
でも僕はそういわれても彼女を愛おしく思うし
いつかもっと会話が増えたらいいな。と思ってる
隣では赤くなった指先を擦り合わせている彼女
そっとその手を取って僕の手と絡めさせる。
恋人つなぎ。 僕が薫さんとしてみたかったことの
一つでもあることを、漸くすることができた。
知らず知らずのうちに口元が緩んでいたらしい。
「ふ、不二君嬉しそうだね、」
顔を赤くした薫さんが僕に言った。
「そんなに締りの無い顔してたかな、」
「…うん、なんか何時もの不二君じゃなくて、す、きだよ」
何とか聞き取れた僕は赤くなったであろう顔を隠すように
「あ、着いたよ。行こうか。」
そう言って手を引いてゲームセンターの中へ入った。

  *

「姉さんからやり方とか聞いてきたんだ予習ばっちりだよ」
なんて言ってみれば薫さんは楽しそうに笑ってくれた。
コースを選択すればすぐに撮影が始まる。
画面にはデモポーズが表示されているが僕たちはお構いなしに
カメラに向かいピースをした。
フラッシュが僕たちを照らす。
それを何度か繰り返す。
残り二枚。
その時に僕はすっと彼女の手を取った。
付き合い始めたころと比べると随分と綺麗に
なっているような気がする。
「指、綺麗になってきてるね」
「不二君、指綺麗な人、好きでしょ、だから…」
はにかむ彼女。
胸がドクンと鳴り機械からカウントダウンが始まる
俺は彼女の左薬指に唇を落とした。
----カシャリ
またフラッシュ照らす。
薫さんは口を開閉させて驚いていた。
その表情は最後の一枚にもしっかり残った。

  *

二人の手には先程とったばかりのプリクラ。
最後の一枚に関しては薫さんもさっきから
ずっと文句を言っている。
此処まで喋ってくれるなんて嬉しいな、

今は僕たちは子どもだしまだかんたんには口には
出せないけれど。
あの指へのキスが僕なりの覚悟と誓いだよ。
ずっと先の事だけれど君にその覚悟と誓いを
僕の声で僕の態度で伝えたいな。

     -fin-


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