時計代わりの携帯のアラームが鳴る前に目が覚めた。
午前六時の十五分前。遮光性のカーテンの隙間から陽の光が漏れ入ってきて、鳥の鳴き声が賃貸アパートの薄い壁越しに聞こえてくる。いつもは気に留めない朝の風景。こんな朝早くに目が覚めるなんて珍しいな、と思いながら早起きの原因は分かっていたので、御幸はさっさと布団の中から抜け出した。
ぼんやりと霞がかかったような視界のまま、感覚を頼りに洗面台へ突き進んでいく。その途中で置きっ放しだった空のペットボトルを蹴り飛ばし、無意識のうちに肩を跳ね上げたが、今はそれを口煩く指摘する者はいない。無駄に力を入れた肩の筋肉の疲労と、合成樹脂を蹴った足の親指の感触だけが、虚しく残っている。横着している訳ではないし、掃除も人並みにしているつもりだが、監視の目が遠退いた途端にまざまざと存在感を思い知らされてしまい、頭が痛くなりそうだった。
小気味の良い音と共に飛ばされて壁にぶつかった後、床の上でくるくると回っているペットボトルを台所のゴミ箱に向かってシュートすれば、期待とは裏腹に明後日の方向に飛んでいったので、潔く見なかったことにする。
バシャバシャとぬるま湯で顔を洗い粗雑にタオルで拭うと、洗面台の横に置いてあった眼鏡をかけて鏡を覗き込む。ようやく鮮明になった視界に飛び込んできたのは、寝惚けまなこのだらしない顔だった。髪は四方八方に跳ねているし、無精髭は疎らに伸びたままだ。
家を出る前に髭を綺麗に剃って、爪を短く切って……と整えるべき身だしなみをチェックしながら、朝食のメニューを決めるために、冷蔵庫の中身を次々と脳内で並べていく。御幸の腹の虫は随分と前から鳴っていた。そういえば納豆の賞味期限が切れそうだったな、と思い至ったところで即座にないないと頭を振って却下した。今日ばかりは納豆のように独特の匂いがするものは避けておきたい。歯を磨けばいいだとか、ブレスケアを飲めばいいだとか。それらの理屈や道理の類ではなく、恐らくは気持ちの問題だった。
食パンがある。卵とハムがある。昨晩の残り物のポテトサラダがある。結局、トーストとハムエッグとポテトサラダという至極スタンダードな朝食に決めた。冷蔵庫を漁ろうと屈んだところで蹴り飛ばしたまま放置されたペットボトルを再度踏みつけてしまい、またしても条件反射で身を強張らせたが、身構えようが恋焦がれようがそれを叱ってくれる者はいなかった。
はー、と長く深い溜め息を吐く。もともと時間が合わなかったこともあるが、大会やテストが控えていたので互いに遠慮していたのだろう。なんだかんだデートをするのは久しぶりだった。
今日は大学の野球部の練習はない。自主練習の誘いも断っている。数ヶ月ぶりに一日まるっと予定が空いた日曜日。
今日は恋人であるミョウジナマエの誕生日だ。





開口一番に誕生日を祝ったのなら、久しぶりに会った恋人はきょとんと目を瞬かせた。
いつもの場所と言えば確実に伝わるほど行き慣れた待ち合わせ場所に着いたのは、約束の時間の五分前のことだった。ナマエが控えめに手を上げながら挨拶してくれるのも構わず、早々に「誕生日おめでとう」と言うと驚いたように瞬くものだから、御幸が「あれ?」と首を傾げていると、彼女は段々と結んでいた口元を緩ませて最終的に破顔した。どうやらからかわれていたらしい。頭を小突いてやると「覚えてないと思ってた」と心外なことを言われたので、容赦なく鼻先を摘まんでやった。こちとら早起きして身だしなみにも気を使ってるんだぞ、とは口が裂けても言わないが。
そもそも御幸が変に浮ついているのは、週末のデートが誕生日であることをうっかり口を滑らせたのが原因だった。普段は色恋沙汰の話題など全く口にしない生意気な後輩のネタを逃すまいと、目の色を変えた野球部の先輩たちにあっという間に囲まれてしまったのだ。それはもう面倒臭いったらなかった。素面とは思えないダル絡みを嫌というほど受けて、腹癒せとしか思えない指導をストレッチ中に受けて。最後に「二ヶ月ぶりのデートが彼女の誕生日〜?」「そりゃ向こうは期待してるって。絶対してるって」「いけるとこまでいけ!」と激励なのか揶揄なのか分からないアドバイスをされて、それなりのプレッシャーになっていたらしい。
御幸自身、楽しみにしていたのは確かだし、喜ばせたい気持ちは勿論ある。しかしながら、当人であるナマエのリクエストが流行りのアクション映画鑑賞とファストフード店の食事なのだから、どうもこうもどうしようもない。誕生日なのにロマンの欠片もない無難なデートを提案するところが彼女らしくもあり、野球三昧で連絡不精の恋人を気遣うようでもあり、なんともいえない複雑な気持ちになる。
ナマエが機嫌良くスカートの裾を揺らめかす姿を見る。可愛いな、と素直に思った。記憶の中の彼女より垢抜けていて、頬の血色が良くて、着飾っているところを見るに、今日のデートを楽しみたいという気持ちがあることは間違いない事実なのだろう。

「何か欲しいもんねーの?」

御幸が突然そう問いかけると、ナマエは面食らったように足を止めた。買い与えられたドリンクをずずずと吸い込んで味わい、考え込むようにストローをぐるぐると掻き回し、こちらを見上げながら「誰かに何か言われた?」とピンポイントに核心を突いてくる。長年の幼馴染みを経て恋人関係になっただけあって、第六感の鋭さと物分かりの良さは流石である。
大きな目で真っ直ぐに見つめられると言葉を失ってしまう。ナマエはそれを気にする様子もなく、事もなげに言った。

「映画のチケット買ってくれたし、モスとスタバ奢ってくれたから十分だよ」

確かに、ナマエのリクエストどおりに映画館で流行りのアクション映画を観て、ファストフード店で今季限定のハンバーガーを食べて、デザート代わりにフローズンドリンクを買ってやった。普段のデートならいざ知らず、一年に一度の誕生日をこれで終わらせるのは余りにも味気なくて呆気ない。現状を自覚しているからこそ、御幸は頑なに食い下がった。

「いや駄目だろ。中学生じゃねーんだから」
「えー……。無理しなくていいよ。一也は練習ばっかりだし、バイトする暇もないでしょ? それに……、お高いプレゼントは鳴に貰っちゃったし」

当然のように気遣ってくれる言葉を頂戴したが、問題はそこではない。聞き捨てならない名前が出てきたものだから、御幸はぐっと空気を喉に詰まらせる。平静を装いながら腐れ縁の名前を口にした。

「鳴? 最近会ったのか?」
「ううん。家に送られてきた」
「……ちなみに何だったのか聞いてもいい?」
「隠すつもりないから大丈夫だよ。……鳴からのプレゼントね、ブランド物の腕時計だった。稼いでるよね」
「マジかよ……」

自称・日本一の左腕は随分と稼いでいるらしい。ドラフト一位で指名球団と契約を交わした後、成宮は一足先にプロの世界へ足を踏み入れた。その自称に違わぬ連日の活躍はテレビで何度も目撃しているし、スポーツ雑誌に単独の特集が組まれるほどの人気っぷりだ。高校時代に稲実が甲子園へ出場した際も『鳴ちゃんフィーバー』だかなんだかで騒がれていたが、成宮自身の我が強い性格も相まってプロになってからの露出は今までに以上に派手になっていた。
住んでいる世界が違えば交流なんてないと考えていたのは甘かったようで、成宮は時々「さっさとプロになれよ一也!」「ナマエと上手くいってる〜?」と連絡を寄こしてくる。本当に余計なお世話だ。それにもかかわらず御幸に一声かけることなく、ナマエに誕生日プレゼントを贈っているところがちゃっかりしているというか、抜け目がないというか。
チラとナマエの細い手首を盗み見る。薄手のブラウスから覗く手首に腕時計はつけられていない。その代わりに、大学の入学祝いに母親に買って貰ったと言っていたシルバーのブレスレットが揺れていた。

「いいもん貰ったのにつけてねえみたいだけど」
「さすがに一也とのデートでつけてくるほど馬鹿じゃないよ」
「…………」
「あ、照れてる」
「……うるせー」

つまらない嫉妬を見透かされてしまい、御幸は悔し紛れに悪態を吐く。ナマエが同じ気持ちであることは分かっていたが、改めて言葉にされると嬉しいものだな、と思った。
照れ隠しに目を逸らせる御幸に構わず、ナマエは何かを考えるように唇をなぞっていた指をピンと立て、意識をこちらに向けるためにつんつんと肩を突いてくる。「なんだよ」と振り返りながら視線を戻したのなら、彼女の大きな目が爛々と輝いていた。

「ね、本当にプレゼントくれるの?」
「まあ高いもんじゃなければ……」
「……男に二言は?」
「ねーよ」

強制的に言わされた感が否めないが、満足そうに笑ったナマエが勿体つけて口を開く。今年の誕生日プレゼントは一也のホームランをください。続いた言葉に、今度は御幸が目を瞬かせた。





「バッセン来るの久々かも」

店内に足を踏み入れて早々、そう言ったナマエは物珍しそうに周囲を見回した。
駅から徒歩十五分ほどの場所にあるバッティングセンターは、日曜日の昼下がりということもあって程々に賑わっていた。マシンの発射音と金属バットの打球音が途切れ途切れに聞こえてくる。彼女が言う「今年の誕生日プレゼントは一也のホームランをください」は練習でも試合でもなく、バッティングセンターのホームランのことらしい。
御幸は受付を済ませ、店の奥へ進んでいく。高校も大学も私立で設備が整った環境のため、バッティングセンターへ来る回数自体はそれほど多くない。同級生やチームメイトと来る機会が全くない訳ではないが、来たら来たで勝者がなんでも命令できるだとか、敗者が翌日の昼食を奢るだとか、一種のお遊びになることがほとんどだ。
並んだバットの中からまだマシに見えるものを選び抜き、バッティングの空きスペースの前で待っているナマエの後を追った。彼女は相変わらず落ち着かない様子で、熱心にあちらこちらを見つめている。その姿がなんとなく腑に落ちなかった御幸は、怪訝そうに眉をひそめた。

「そんなに物珍しいもん?」
「二回……。いや、三回目? くらいだから」
「そういや久々って言ってたけど、運動音痴のくせに来ることあんのかよ」
「マネしてたとき。私は見てるだけだったけどね」

マネしてたとき。頭の中で反芻すると、納得と同時に後悔が襲ってくる。ナマエが野球部のマネージャーをしていたのは、別々の学校に通っていた高校時代の話だ。自分から聞いたくせに、知らない交友関係の話をされるのは面白くない。みんな元気かな、と過去に思いを馳せている彼女に、適当な相槌を打って流しておく。
我ながら面倒臭いと思うが、独占欲というものは無限に湧いて出るものなのだから、仕方がない。

「お前、ほんと変わってるわ」

ほとんど独り言のような御幸の言葉に、ナマエは「そう?」と首を傾げた。
シニア時代は御幸や成宮の試合に何度も足を運んで、高校時代は野球部のマネージャーまで務めたくせに。いまさら野球というスポーツに対して新鮮な感情を持ち得る彼女の方が、何よりも誰よりも物珍しくて貴重な存在であるに違いないのに。
ナマエはショルダーバッグの中からスマホを出したかと思えば、背面にある丸いレンズをこちらへ向けて画面越しに御幸を覗き込んでくる。

「球児の恋人になった全女子の夢じゃない?」
「何が」
「カズヤくんナマエのためにホームラン打ってって言うこと」
「…………ぷっ」
「笑わないでよ! ……それとも何? 自信ないの?」

薄っぺらい板で隠された口元は御幸から確認できなかったが、にやっと挑発するように吊り上がっていることだろう。現にスマホの端から見える双眸は、面白可笑しいものを見るように目尻が下がっている。
ミョウジナマエは昔からこういうやつだった。売り言葉に買い言葉。ああ言えばこう言う。そして御幸を焚きつけることが上手かった。

「ばぁーか。ちゃんとプレゼントしてやるよ」

言いながら、ナマエに向かって指を差す。カシャッと狙ったように短いシャッター音が鳴った。
いつの間にか入ったスイッチは、確かに御幸のモチベーションを上げた。試合前に似た独特の高揚感が心地良い。ホームランを打たなければならないという使命感も悪くない。乗りに乗ればそのままの調子で成果を出せることは分かっていたので、ヘルメットを被った御幸は鼻歌交じりでバッターボックスに立った。下手な鼻歌を聞いたからなのか、或いは偶々なのか。後ろからナマエが「お前が打たなきゃ誰が打つ〜」と歌っているのが聞こえてきたものだから、堪え切れずに笑ってしまう。

「いいな、それ」
「え?」
「高校んときはナマエにヒッティングマーチ歌われることなかったし」

気恥ずかしい台詞を言った自覚はあったが、本心だった。そんな御幸の反応に驚いたのか、ナマエは目をまるくしてこちらを見返していた。それから息を吐くようにふっと笑うと、小さな声で歌詞の続きを歌い始める。
青道高校に於ける御幸のヒッティングマーチは『狙い撃ち』だ。高校野球の応援歌としては王道級のメジャーソングのため、メロディーと歌詞を知らない者を見つけることの方が難しいだろう。それでもナマエがそれを知っていて、それを歌ってくれることが、御幸はとても嬉しかったのだ。
御幸が入ったレーンのピッチングマシーンは球速・球種が固定のスタンダードタイプだった。十五球で二百円と価格設定は並みであり、バーチャル映像のプロ野球選手と対戦できるオマケ付き。こつこつとバットの先でベースを叩いてから肩で担ぐように構える。自信満々に大見得を切った手前、初球からホームランを狙いたいところだ。
バーチャル映像の人影が振り被ったと同時にボールが発射されて、狙いを定めてバットを振り抜いて。やっべ、と思った頃には既に遅かった。御幸が想定していたよりも僅かに遅く感じられるボールが、手元に吸い寄せられてくる。ゴッと鈍い音が響いた。バットの芯から外れたところに当たったボールは、重そうに地面を数回跳ねながらゴロゴロと転がっていく。完全に詰まらせてしまった。見まごうことない内野ゴロである。
ハア、とわざとらしい溜め息が後ろから聞こえてきた。ナマエがどんな顔をしているのかなんて、恐ろしくて知りたくもないし見たくもない。御幸は振り返ることなく、そのまま第二球のために備えることに専念する。

「……かっこわるい」
「今のナシ」
「しっかりしてよ元四番」
「黙って見とけっつーの!」

お互いの顔を見ないままの口喧嘩もそこそこに。やけっぱちのような気持ちで振り抜いたバットは、今度こそカキンと小気味良い音と共にボールを飛ばし、それはやがて放物線を描いてホームランの的に当たった。





結局、御幸が打ったホームランは二球目と最後の十五球目だけだった。悔しい気持ちもあるが、初球を打ち損じたときに脳裏を過った悲惨な結果にならなかったことだけは救いだ。ちゃんとプレゼントすると言ったくせに、ホームランがゼロなのは笑えないし目も当てられない。いくら球速・球種が固定とはいえ、普段使っているピッチングマシーンとは機械の種類もボールの感じも違うのだから、初めて行ったバッティングセンターならそんなものだろう。渇いた笑みを浮かべながら、御幸は『ホームラン賞』と印字された安っぽいボールペンをポケットへ突っ込んだ。
ナマエはナマエで始終をスマホで撮っていたらしく、即席の誕生日プレゼントに満足してくれた様子だった。御幸としては初球の内野ゴロや、後半のほとんど空振りに近いファールの動画は可及的速やかに消去して貰いたいところだが。至極楽しそうに動画を見て笑っている彼女を見ると、まあいいかと喉まで出かかった言葉を呑み込んだ。
駅の改札を通過してからも意識がスマホの中にあるナマエの手を引いて、御幸は誘導するように上り線のホームへ向かう。彼女が家へ帰るためには反対側のホームへ行く必要がある。上り線のホームから出る電車が行き着く先は、御幸が一人で暮らす賃貸アパートの最寄り駅だ。
聞いた訳でもなければ、確認を取った訳でもない。けれど、最初から御幸はそういうつもりだったし、待ったをかけられるどころか繋いだ手に身を委ねるように凭れかかってきたのだから、ナマエもそういうつもりなのだろう。ぎゅっと手の力を込めると、同じくらいの力が返ってきた。
肩に預けられた頭が「ふふ」と笑い声と共に、小刻みに震えて柔らかな髪が揺れる。目印のある黄色い線の内側、上り線の電車がくる五分前。ホームの喧騒に紛れない絶妙な音量で、スマホの中から御幸とナマエの声が聞こえてくる。「今のナシ」「しっかりしてよ元四番」「黙って見とけっつーの!」……言った覚えも聞いた覚えもある台詞からすると、二球目の内野ゴロのシーンを見ているようだった。

「一也らしいなぁ」
「……緊張したんだよ」
「私のために打ってって言ったくらいで? 大学でもクリーンナップなのに?」
「だからだろ」
「………………へえー」

素直に答えられたのが意外だったらしい。たっぷりの沈黙の後に零された感嘆は、心ここに在らずといった調子で珍しく棒読みだ。終いには「今日の一也、変」とぶつぶつ愚痴のような独り言をつぶやいている。髪に隠れてしまったナマエの顔を窺い見ることはできなかったが、先程と同様に目を剥いて頬を染めているのだろう。
変ねえ、と今日一日の言動を思い返せば、まったくもってナマエの言うとおりだった。先輩たちや成宮からは煽られて、本人からも焚きつけられて。くっ付いた状態のままで、甘ったるい空気になったのが妙にむず痒くて、御幸は頭を掻きながら話題を逸らす。

「晩飯、チャーハンでいい?」
「ニンニクは抜いてね。待ってる間に掃除しようかな。久しぶりに行くけど、ちゃんとしてる?」
「まあまあ」
「ほんと? 空き缶とかペットボトルとかその辺に置いたままになってない?」
「…………」
「なんで黙るの」

置きっ放しのまま床の上に転がっていた空のペットボトル。踏み潰した挙句、蹴り飛ばして明後日の方向へ飛んでいったペットボトル。数時間前の朝の惨状を生々しく思い出し、なんとなく気まずくなった御幸は沈黙を貫いた。ナマエの第六感の鋭さは相変わらず健在らしい。
なじるようなまなざしから逃れるため、御幸は前を向いたまま手を引いて歩き出した。賃貸アパートに着く前に、口煩い恋人に気づかれないように証拠隠滅する方法を考えなければ、とそんな思考を巡らせているとは露ほども思わせない顔で、唇を尖らせるナマエに笑いかける。タイミング良くホームへ滑り込んできた上り線の電車の扉が、静々と二人を迎え入れた。

バースデー・オブ・ハルモニア
20'1207

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