なぁ。そんな目で海を見るなよ。エメラルドグリーンの瞳に反射する水の色が美しすぎて、穏やかな波の音が余りに幻想的で、冷たいのか暖かいのかそれすらも判らなくなる



遙か遠い島の向こうを
俺の知らないあんたの世界を
言葉は余りにも一方通行に消えていく
幸せだと互いに笑った顔は嘘じゃなかったのに、鮮やかに色褪せて残酷な思い出へと



届かない、届けられない。
俺の感情の汚いところは全部隠してしまったんだ。残ったのは無意味なただの幻
だから、あんたが見ているのは嘘。偽物だから、本物には適わないのか。
愛の重さなら負ける気なんてしないのに、気付いたら重量が重なりすぎて身動きすら取れない


何処にも行くなよと言葉を飲み込んで、そっと目を閉じてみた
ああ、波の音が聞こえる。風が頬の横を通り抜けていく。
でも、あんたの体温は何処にもない真っ暗闇
愛さなければ良かったとは決して思わないけれど、愛されなければ良かったとは、ほんの少しだけ



「仗助」



この名前を呼ぶ声は、もう残り僅かで途切れてしまうからせめて、せめて
俺だけを、


(その続きは決して紡げない)

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