必死で埋めたのは10問中3問。どうにかこうにか。正解な自信はない。というか、多分間違ってる
でもまぁこういうのはアレだ。考えることが必要なんだ。どうせ実践派だし
と、我ながら意味不明な言い訳をして時計をみる。日付はもう変わっていたが、雪男は帰ってこない


流石に少し心配になった。


まさか栄養失調で倒れていることはないだろうが、怪我でもして病院にいるんじゃないかとか。だって雪男の任務は死と隣り合わせなんだ。幾ら強くても、死ぬときは死ぬ。生きるか死ぬか、殺すか殺されるか


死ぬ、なんてあり得ない。縁起でもない。でも、生きていなければ死ぬんだ。二分の一。


一度浮かんだ不吉な予感は、頭を降ったぐらいじゃ取れなくて。ペンを放り出し教科書を閉じて、漫画を広げても内容はさっぱり入ってこない
黒いモヤみたいな物が、頭を占めていく。


「ゆきお…」
無意識に呟いた言葉が、しんとした部屋に響いて酷く哀しくなった。チクタクチクタク、相変わらず動き続ける時計の音が耳障で、痛い


それから暫く待ってもやっぱり帰ってこなくて、不安は広がるばかりで、気付いたら床に座ったままじっと扉を見ていた。

開かない開かない。全然開かない。開いて閉まるためのドアがぴくりとも動かないなんて、きちんと働けよ。と、理不尽な八つ当たりをしてみる
あれか、この前弾みで蹴って穴あけそうになったからその復讐か?おい、勘弁してくれよ


とてもじゃないが、風呂に入って眠る気分じゃない。
どうせ待つなら、玄関にでも出て待つか。と立ち上がった時に、携帯が鳴った。


慌ててポケットから取り出す。焦って一度落としたけど、すぐに拾うと画面を確認した。


そこには「雪男」の文字。


どくん、と胸が高鳴る。
ずっと待っていた筈なのに、電話に出るのが怖かった。
何秒か携帯を凝視して、覚悟を決めると通話ボタンを押した

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