白い皿に熱々のパスタを乗せてテーブルに置く。作り置きしておいたソースで作った簡単な夕食。汗の滲んだ顔をざっと洗って、席に着いた


くるくるとフォークに巻き付けて、口に運ぶ。トマトの味が濃厚なそれは、我ながら旨い


一口食べて、再びフォークを回すと皿とフォークがかちゃかちゃとぶつかって音をたてる


雪男は、いつもスプーンを使って静かに上手にパスタを巻き付けていた。
手先は俺ほどに無いにしてもそこそこ器用なのに、何故リンゴ位向けないのかいつも不思議だ


最初こそ練習させようとしたけれど、指を切ることによって祓魔師としての任務に云々…と散々駄々をこねるもんだから、とうとう根負けした。
りんごが酸化でもしたら堪らない。
小さい時はあんなに素直だったのにいつの間にあんなに頑固になったんだ


そんなことを考えているとりんごが食べたくなり、パスタを完食した後探してみた。
が、残念ながら見つからなかったので諦めて食器を洗う。水が非常に生温い


喧嘩して以来、夕食も昼飯も雪男の分は作らなかった。


初日こそ純粋にイライラしてて作らなかったのだけど、雪男がコンビニ弁当だとか惣菜だとかを買ってくるようになって、作り出すタイミングを失ってしまった


正直あんな体に悪いものを食うよりは、幾ら喧嘩してても飯くらい作ってやろうとも思うのだが、巧く伝えられない


どうせコンビニや出来合いの弁当に音を上げて、向こうが折れるだろうとも思ってたから、まさかこんな長期戦になるとは正直意外だった


コンビニも俺の飯も、雪男に取ったら対した違いはないのだろうか?とさえ思えてくる


「下らねー…」


気がつけば、30分も流しに立ったままぼんやりとしていた
雪男はまだ帰ってきていないな、と片隅で考えてまた雪男のことか、と1人苦笑する


どうせ明日も休みではあるし、たまには勉強くらいしておこうか。
もしかしたら「あれ、兄さん勉強?」とか雪男が云ってきて、冷戦終了の運びとなるかもしれない。

素直に謝ればいいんだけど、コンビニ弁当と同等にされたくはなかった


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