「コーヒーは甘くしてやるよ」
「今度は糖尿病にするつもり?」
「苦いとキスしたくなくなるから」
「じゃあ砂糖とミルクをいつもの倍で」
「そこまでするなよ」



お揃いのマグカップにコーヒーの粉を入れ、砂糖とミルク。
決して甘党ではない雪男の分には流石に倍は躊躇われ、少しいつもより多めに



「どーぞ」
「有り難う。……甘い」
「少し増量してみた」
「キスはしてもらえる位?」
「まぁな」



コンッとカップを置いて、今一度キス。ぺろりと唇を舐めれば、先程よりは幾らか甘い。
離れようとした矢先、腰に伸びた手と進入してきた舌先がそれを許さずに体を引き止めた



「んっ…ン…雪男…」
「…兄さんがキスするから」
「するから?」
「ムラムラしてきた。ヤらせて」
「仕事は?」
「妖精がやってくれないかな」
「信じてるのか?妖精」
「いや、全く」
「じゃあダメじゃん」
「自分と兄さんだけしか信じない主義なもんで」
「お前、友達いないだろ」
「兄さんがいればいいよ」
ふわりと体が浮いて、気がつけばベッドへと逆戻り



「すきだよ兄さん」
「何回も聞いたけど」
「何回も云ってるからね」



のし掛かる重量は幾らか苦しいけれど、嫌いじゃない



「ねぇ兄さん」
「何だ弟」
「さっきの本当?」
「兄ちゃんが嘘ついたことないだろ。で、何が?」
「一緒に死んでくれる?」
「糖尿病にはならねぇけどな」


愉しげに笑って、次に瞳を上げたときはもう、雄の色。
ギラついた本能を隠そうともしない1人の男
ああ、ぞくぞくする



「…他の奴には見せられねーなやっぱ」
「何が?」
「……糖尿で死ぬトコ」



笑いながらキスされて、脳の中が溶けていく。酸素不足の頭の片隅で、可愛い弟は明日徹夜になるだろうな、とぼんやり思った


ーー妖精さん、出てこねーかな




ちゅうは確信犯
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -