糖尿に気をつけませう
ぎぃっ。
古い椅子が軋む音で目が覚めた。隣にいた筈の雪男が、今はパソコンの前に。
仄暗い灯りと、赤い煙草の先端が横顔を照らしてる
「雪男?」
「ああ、兄さん。起こしちゃった?」
朝はまだ遠く、僅かに開いた窓の外には淡い三日月。
昼間の豪雨のせいか、ひやりとした空気が頬を撫でて通り過ぎる
身震いして、裸の胸元に布団を引き上げた
「仕事か?」
「うん。疲れたからちょっと休憩」
背もたれに寄りかかり、だらしなく足を投げ出して雪男はふぅっと煙を吐き出す
講師である時とのギャップの大きさに、思わず笑ってしまった
「他の生徒には見せられない姿だな」
「見せないからね」
「忙しいならシなきゃ良かったのに」
「それじゃあ、まるで暇潰しにセックスするみたいじゃないか」
「まさか。…コーヒーでも煎れるか?」
「ニコチンとカフェインの組み合わせは身体に悪いらしいよ」
「今更だろ」
「僕が早死したらどうすんの」
「一緒に死んでやるよ」
「それは有り難い」
下着だけを身に付け、くすくす笑う雪男から煙草を取り上げ、触れるだけのキスを。
それでも残る苦さに顔が歪む
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