100円ライター




安物のライターを灯し、先端に火をつけた
燃えていく葉から立つ煙をゆるりと肺に取り入れ、また吐き出す
青い空に不純物が溶けて、やがて消えて


『僕が兄さんを守る!』


子供の約束はやがて信念へ
墓前になど、誓いたくは無かったけれど


成長し、強くなりそれなりの地位を得て、世界をほんの少しだけ知り見えたのは


小さく華奢な、後ろ姿


「兄ちゃんがいるだろ!」


彼は笑う。何事もなく、笑う



守るとか守らないとか強いとか弱いとか悪魔だとか人間だとか無だとか有だとか


払拭して、躊躇うことなく



いっそ、殺してしまいたかった

沢山の物に絶望する前に、せめて自分の手で殺そうと思い向けた銃が、負けた



「はぁ…」



真っ青な空のようだと思う
果てしなく澄み渡り、見ていると飲み込まれそうな、青い空


「もー少し賢くなってくれればいいけどなぁ」


二本目を半分程消費して、1人呟いた
守るつもりが気付けば、また
適わないと認めたくは無いし、認める気もないけれど


どうした、ものか


眼鏡を外し、ぼやけた世界を眺めながら短くなった煙草を押し消した






ゆっきーは大変だ
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