2012/12/20 17:16

仗&承

封じ込めようとすればするほどに、激動が抑え切れなくなる。彼が酸素を吸い込んだ音さえも今の俺には鮮明に聞こえて、無性に胸が疼いた。「どうしたんだ、黙り込んで」この関係を抜け出したいのに壊すことは怖くて。物珍しげに此方を向く双眸を見ることすら出来ず、拳を握った。

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仗&承

賑やかに移り変わる電飾に照らされたお互いの表情は、とても似ていた。優しさとほんの少しの意地悪さと、真っ直ぐな欲望と。感じるのは相手の体温だけで、窓の外で降り積もる雪の寒さは届かない。聖夜が柔らかく2人を溶かしていく。

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仗&承

俺の愛情がどんな物であろうが、あの人が俺に如何なる感情を抱いていようが目には見えない。常識に照らし合わせたなら、有り得ない俺らの関係も決して形にはならない。だからせめて、綺麗であると信じたいのに。抱き合う度、痛い程の醜さが剥き出しになる。好きすぎて、壊れそうだ。

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仗&承

家族の事を口にする彼の瞳は、何時だって優しくて。俺は魔法にでも掛かったように魅せられ、彼を求めた。暴走を若さの所為にして、彼の弱さに取り入ったのだ。けれど彼は本来在るべき場所へ行ってしまった。残された虚無が愛情であるのか、俺への報復なのかは判らない。二度と、判らない。

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仗&承

頂点に登った夜の闇が少しずつ明けていく。重ねた身体はまだ下降する事など知らないのに。「明るく…なりましたね…」「…は、ンッ…」短い言葉すら消化出来ぬ彼の瞳が虚ろに俺を捉える。酸素を求めてか、うすらと空いた唇を噛み「…愛してる」囁きながら、深く貫いた。





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