2012/11/06 21:56

仗&承
彼はその孤独を飼い慣らして居た。伏せた瞼の奥に何を見ているのかだなんて、俺には検討もつかない。ほんの少しだけ分かり合ったと思った刹那、音もなく遠ざかっていく。「寂しくは無いんっすか」「考えたこともねぇな」それが本心であるのなら、余りにも残酷過ぎるだろう。

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仗&承
願望は決して希望にならない。それでも一度はこの掌の中に閉じ込めた体温を、どうして切り離せようか。前を見据えた言葉だけを救って重力に逆らう。「また、行きましょうね。海」崩れそうな足元を見据える二つの碧玉は、初めて濡れていた。

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仗&承
僅かに汗の滲んだ肩に唇を寄せ、唇を落とす。静寂と闇で包まれた世界に俺ら以外の侵入者はいない。互いの乱れた呼吸だけを頼りにしながら、洗い立てのシーツを汚して行った。夜明けの足音は未だに遠い。

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仗&承

この甘ったるい場面に相応しい言葉など知らない。渦巻いた内情がもどかしく、口を開き掛けては何度も閉じる。だが仗助の眼差しは変わらずに優しかった。「無理に喋らなくて良いっすよ」昔に比べて随分と成長した指が頬を撫でる。彼に触れられる度、蟠りは不思議な程見事に消えていった。

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仗&承

己を気遣ってなのか少年は決してある一線を踏み越えない。其処までは易々と飛び越え遠慮なく抱き付いて来る癖に。内側へ招き入れようとした刹那、ふっと呼吸の音を途切れさせ遙か遠くへ消えてしまう。それに逐一動揺する己は、何時の間にこんなにも愛に溺れてしまったのだろう。




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