2012/04/08 01:56

「承太郎…さん…これ…お土産、です」扉を開けると仗助は開口一番、俺にずいっと何かを差し出した。「これは?」その掌の中に有ったのは綺麗な四つ葉のクローバー。小さく鮮やかな緑色。「さっき土手で…見付けて…持ってきました!」よく見ると息切れしている。「走って来たのか」ここから大分遠い土手には確かに沢山の野草が生えていたように思う。が、わざわざそんな所から。「四つ葉のクローバーは持ってたら幸せになれるんですよ!」漸く呼吸が落ち着いてきたらしい。「承太郎さんに幸せになって欲しいじゃないっすか!」額に汗を浮かべながら、どうだとばかりに細まる瞳にニカッとつり上がる唇。「…馬鹿だなお前は」「え、気に入りませんでした?」僅かに慌てたような仗助の指先から、そっと小さな幸せを受け取って違う。と否定した。気に入らないわけじゃない。ただ「お前がクローバーと一緒に現れたら、クローバーの効力が霞むだろうが」「…へ?」「まぁ有り難くしおりにでもさせてもらう」暫く固まっていた仗助が、やっと俺の言葉の意図に気付くのにはもう少し先。
comment (0)



第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -