2012/04/07 18:02

先程から会話は無い。変わりに有るのは重い沈黙。静かな空気は好ましいが、この息苦しさはそれとは違う。きっかけは恐らく酷く下らない事だった筈。既に覚えちゃいない。「…おい」「何すか」不機嫌な声は、いっそ清々しいほどに分かり易くて。「機嫌直せ」「嫌です」「俺が悪かった」「原因すら忘れてる癖に」どうやらバレていたらしい。過ごした時間の長さは、こう云うときには不利だ。歩き続けて、本来別れるべき道に辿り着く。其処で2歩前を行く仗助は漸く振り返った。「じょうす「今日はホテルで反省して下さい」「反省と云われてもだな…」「うるさいっすよ」距離が詰められ、怒りを露わにした瞳に射竦められる。「たまにはあんたも俺の事で困ればいい」背伸びした仗助に唇を奪われた。刹那走る痛み。血が出たみたいだ。「今日は治してあげません」それだけ言い残し、学ランを翻しながら走り去っていった。「…やれやれだ」少しだけ考えて逆方向に歩き出す。どうやら今夜は論文を進められそうにない。
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