2012/04/07 10:21

23:55。エンジンを切っている所為でエアコン所か音すらもない車内。何を話すでもなく、ただ呼吸をし前を見据え、手を繋ぐ。キスはしない。彼の唇には煙草がある。抱き合う事もしない。だって夏だ。暑い。何より、それはさっき幾度も済ませてきた。変わりに掌に力を込めれば、合わせるようにぎゅっと握られる。23:59ああ、あと少し。思い切り彼の手を握り締めたら、痛いほどに握り返された。痛いほどに、というか痛い。折れてしまう。「じょ、承太郎さん痛い!」思わず悲鳴を上げたら、ぐっと引き寄せられ唇が重ねられた。「時間だぜ、学生服のいかついシンデレラ」ああ、00:00。無情に連なる0。「さっさと帰れガキ」するりと彼が逃げていく。魔法が解けるみたいに。「お休みなさい」俺が見ている前で、馬車は颯爽と闇に消えた。

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