2012/04/06 00:09

「食え」いつも通り彼の部屋を訪れ、これまたいつも通り珈琲を飲んでいると饅頭を2つ貰った。何だと尋ねたら、老人の荷物を運んだらくれた。と。ああ、またか。この人は見かけによらず優しいのだ。特に老人や子供には。だが。「承太郎さん…俺も承太郎さんと分けようと思って此処に来たんっすよ」全く同じ銘柄の饅頭。しかもこっちは箱入りだ。ありふれたこの街の名物。何の変哲もない白いそれを机に出す。「……これはどうした」「……信号でお婆ちゃんの荷物を」「ああ…そうか」最後まで云わなかったが承太郎さんは察してくれたらしい。「…ノルマは三つだぜ仗助」「…うっす」2人で頂きますと手を合わせしっかりと完食した。胸焼けがしたが、悪くない。互いに顔を見合わせ、同じ表情を浮かべながら少しだけ笑った。
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