2012/03/25 20:05

仗助の部屋に連れて行かれると、とりあえずチェーン点けられるよね。えーっと、足首に。

んで、ベッドに繋がれる。
ただ、繋がれると云っても、部屋の中やバルコニー、部屋に併設してあるバスルームやトイレには行ける程度の長さ。


家臣の中には「仗助様!相手は敵国のスパイですぞ!?我が国への冒涜行為として拷問の上死罪ならまだしも、部屋に飼われようなどと…まして足錠だけに留めるとは危険すぎます!」
とかって騒ぐ白髪のジジイが絶対いるよね。

まぁ仗助だからヘラヘラ笑って「大丈夫っすよ〜」って答えるだろうけど。
まぁ、そんなこたぁどうでもいい。


兎に角、承太郎さんは仗助の寝室に住むことになりました。



「此処があんたの部屋になるから、必要なモンは云ってくれ。部屋の中とバルコニーなら何してもいいし、そこのクーラーボックスの中の物は好きに飲み食いしてくれていいけど、廊下に出るのは禁止。バスルームも自由だから」

承太郎さんは勿論困惑するよね。

「…何のつもりだ?」って。

「いやぁ、あんた口固そうだし、綺麗な身体に傷つけても無駄そうだから、喋るまで待つことにした。ほら、北風と太陽の童話にもあるっしょ」

「………それなら何処かに閉じ込めればいいだろ」

「まぁ普通はそーなんだろうけど…何つぅの、あんたの事気に入った」

「…気に入った?」

「そーそー。つぅかさ、スパイなんざ止めて俺の男になってよ」

「…は?」


一国の王が、男を妾として迎えるのも珍しく無い時代。
けど、敵国のスパイを愛人にするなんざ、どう考えてもおかしい。
しかも、自分よりもガタイも良くて屈強な男を。
冷静な筈の承太郎さんは混乱しっぱなし。


困惑しながら口を開いた刹那


「一体何考えて…んんっ…!」
「……」
「ン…ぅっ…このっ…!」
「ッ…」


強引に唇を合わせる仗助。
けど、驚いた所為か反射的に噛み切る承太郎さん。


鈍い痛みを感じ、顔を離すとたらたら出血。
勿論、王様は他人に傷付けられた経験なんざ皆無で、事態が把握出来ないまま手のひらで拭うと、血痕の跡があってびっくり。

「おわっ、血出てる」
的な。家臣が見たら発狂するね。

承太郎さんは、明確な攻撃意志があった訳じゃないし、幾ら王様とは云え丸腰の自分よりも若い少年を怪我させちゃったんだから、悪かったな、とか思うんだよ。
承太郎さんだからね。


罰が悪そーに「…すまん」って呟くよ。で、「念の為見せて見ろ」って。

多分、弟かなんか見る気分。
自分には滅茶苦茶手の掛かる面倒な兄(ジョセフ)と余り手も掛からなくて可愛い弟(ジョルノ)がいるから。

すいっと顎をすくい上げて、唇に近付く。
まぁでも所詮唇だからね。大丈夫だろって結論。


けど、当の仗助は全く大丈夫じゃない。
それなりの女性経験はあるものの、その中のどの人よりも綺麗な…いや、綺麗とか何とかのレベルじゃなくて、もう人間じゃねーだろって程に妖艶な承太郎の顔が、数ミリ迫ってるんだからね。管理人なら発狂するわ。


「その傷はさっきみたいに治せないのか?」って唇を撫でながら上目遣いに承太郎さんが訊くもんだから、もう押し倒すしかない。


「やばい…あんた本当やばい…」
「お、おいっ…落ち着け…どうした?」
「…なぁ、俺の物になってよ。あんたの望みならなんでも叶えてあげるから…頼むよ…」


仗助、見たこともないほど真剣な顔します。多分、これまでの人生の中でも殆ど無いくらいに。

けど、承太郎さんには自分の国がある。守るべき家族がいる。暫し考えた後にゆっくりと口を開くよ。


つづく。
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