2012/10/15 09:48

DIO承
太陽を嫌う癖に、薄明かりの中でさえキラキラと輝く髪色が疎ましい。視界がこいつの色に染められてしまうのが嫌なのだ。やがてそれは己の脳内すら、食い尽くしていくのだから。「私だけを見ていろ、承太郎」他の物を全て切り捨てさせて、今更何を。どうせもう沈み切っているのに。

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花承
一束柔らかな髪の毛を掴んで口付けた。「どうしたんだ承太郎」くすくすと楽しげに奴は笑い指先が頬を辿る。「構って欲しい?」素直に頷いた事など無く何時もの様に無言でいると、そのまま指を握られ互いの体温が溶け合った。「典明、」「好きだよ君が」また先回りされた優しさにほっと俺は息を吐く

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仗承
無敵だとか最強だとか、そんな称号の上に追いやられた彼を引きずり下ろしたかった。「泣いて下さいよ。頼むから」けれど震えるのは何時だって俺の声。抱き締めたつもりが何時の間にか包み込まれ「俺は泣かねーよ。お前に任せる」そんな優しい理由をくれる。結局どうしたって隣になど並べやしない。

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仗承
ギターを持った男が郷愁を誘うメロディーを奏でつつ歌声を乗せている。ぼんやりと聞き流しながら真っ暗な海を眺め、冷たい風に身震いをした。「寒くねぇ?」彼は首を横に振る。それきり身動き一つせぬ儘前を向いていて。きっと今、彼の心は此処に無いのだろう。取り戻す術さえ知らず、俺は只側に居る。

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