2012/07/05 00:06
自分よりも大きな身体を背後から抱き締めると少しだけベッドのスプリングが軋んだ。引き始めた汗は少し冷たいけれど、まだ火照りの消えぬ身体にはそれも心地良い。「綺麗な月ですね」彼の目線の先を辿り、肩口に顎を乗せて囁いた。金色の輪を纏った球体は、ひっそりと、しかし確かに夜を照らしている。「ああ、綺麗だ」猫を愛撫するように頬を撫でられ、擽ったいと笑うと承太郎さんも笑った。「綺麗なのは結構だが、月に惚れるんじゃねぇぞ」そんな軽口を紡ぐのは余程機嫌が良いのか。「承太郎さんにフラれたら月にプロポーズしますよ」「そりゃあ…壮大な話だな」喉奥で笑いながら振り向いた厚めの唇に甘く噛みつく。一瞬瞳が丸くなったがすぐに挑発を含んだ色へと成り代わり、月明かりの照らすシーツの上に二人で倒れ込んだ。