2012/06/23 15:54

深夜零時時過ぎ。漸く作業を終えて、疲労により思わず座り込む。到底売り物にはならないスクラップ寸前の白い車をタダ同然で手に入れて3ヶ月。消耗品は勿論、エンジンやミッションは関係の部品に至るまで全て新しくし、全塗装を済ませ漸く今ナンバーを付けた。工具を片づけ手を洗って携帯を見ると、着信履歴が2つとメールが1つ。全て同じ人物からで、今から帰るとメールをすると即座に「分かった」と返信が来た。ずっと携帯を見ていたのかと思わず笑みを誘われる。急がなければ、と運転席に乗り込んで、セルを回すと実に快調にエンジンが掛かって安堵した。アクセルに引っかかりもなく、夜道を進んでいく。とっくに生産中止になった、台数自体が非常に少ないこの車。6年前に彼が乗っていた、真っ白で四角いボディ。いつも助手席にいた俺が操るのを見て、一体どんな顔をするだろう。滅多に驚かぬ彼が碧玉の瞳を丸くするのを想像し、更にスピードを上げた。
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