2012/05/23 16:03

どうしても会いたくて、家を抜け出しペダルを漕いだ。高校生の最強交通手段。その気になれば何処まででもイケそう。微かな朝日を追いかけて、気付いたら見慣れたタバコ屋と高層のホテルが見える曲がり角に辿り着いた。彼の部屋の窓を見上げる。勿論何も映っていない。流石に寝ているんだろう。知っていた筈なのに、此処まで来てしまった。着信履歴を引っ張り出して通話ボタンを押す。1コール、2コール。「どうした?」聞こえてきたのはいつも通り鮮明な声。もしもしでも無く、俺の名を呼ぶでもなく。「あんたに会いたい」だから俺も必要なことだけを告げた。「何処にいる」「…ホテルの前」「待ってろ」通話が切れる。まさか。夢じゃないのか。なぁ。承太郎さん。「仗助」ああ、もっとあんたを確かめたい。承太郎さんは抱き付いた俺よりも強い力で、俺を抱いてくれた。
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テーマ「推しとの恋」
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