2012/04/12 03:39

今日は何が書いてあるのかと帰ってすぐにノートを広げた。何の変哲もないありふれたそれは承太郎さんとの交換日記。「恋人ぽく交換日記でもしますか」俺の思いつきは当然失笑されると思ったが「面白そうだ」と彼は賛成し、男二人の間で交換日記が始まった。既にノートは7回ほど交換されている。内容といえば、俺は学校で何をしただとか何処に遊びに行っただとか何を食っただとか、ありふれた物。一方の承太郎さんは…自由だ。俺の生活態度についての説教かと思えば、いきなりイルカの絵を描いていたり、更にそれについてビッシリと講釈がつけてあったり、或いはこれを解けと自作のロジックを出題したり。一番最近は、テレビで見たレシピを殴り書きのような英語で書付けていた。で、おまけ程度に「テレビで見て旨そうだったから書いた」と注釈してあった。…多分、英語だったのは日本語より筆記体の方が早く書けるからだろう。そんなに急いで書き付けてまで食いたかったか。可愛い。――で、今日はと開くと、何だか意味の分からない計算式と化学式。…レシピといいこれといい、どうやらメモとして私物化が進んでいるようだ。これはいかん。注意をしておこうとペンを取って頁をめくると、ド真ん中に一行だけ小さく書いてあった。「一人で居るとお前の事ばかり考える」と。…ああ、そんな事書かれたらもう隣の頁はひたすらにあんたへの想いを綴る羽目になるじゃないか。レシピと化学式のメモに対する詫びなら、ズルい気もするけれど悪くない。俺はペンを握り直した。
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