『何言ってんの…?』
「憶測ですよ。ただ今のように露骨な態度で示されますとそう受け取らざるを得ないですが」
『……』
「では少しお話でもしませんか?」
『は…』

自分で言うのもあれだけど今は多分何を言っても無駄な気がする。答える気力も考えることも億劫なのに黒白は私の横に腰を下ろしてきた。

「畏まらなくてもいいですよ。私同様蒼自身も知りたいことがあるのではないですか?」

今の現状でこんなことを言われてもはっきり言ってどうでもいい。

「ただ単純に興味があるんです」
『興味…?』
「どんなに調査しても一定の詳細以上は不明。嘉録様が、」

え、


「このようにご執心するくらいですから」

首元に手を触れてきたと思えばすっと下降された場所には小さな鬱血痕。咄嗟にその手を弾くように隠すけど自分でも気付かなかった。


『…何』
「いえ…貴女でもそんな顔をするとは…可愛らしいですね」
『馬鹿にしな「馬鹿になどしていませんよ」…っ、』


(…?)

反論しようとした矢先に顎を掴まれて顔を寄せられた。びっくりして何も言えなくなって煙草の苦さが口に広がる違和感は黒白に舌を突っ込まれているせいだと知るもタイムラグがありすぎだ。


「っ!」
『…っ、やめて…!』

唇が僅かに離れたけどまた突っ込まれそうになった。咄嗟に唇を噛めば驚いたように目を見開いてみせる黒白はそれでも余裕があるようにら見えた。
嫌に決まってる。なのに睨みあげるしかできない私を何故かしげしげと見据えてくる。


「…そういえばエリシュカ様が怪訝な顔をしていましたね

嘉録様の部屋から不審な音がする、と」
『え、』

血が滲む唇を舐めながら隠しても無駄、そう目が物語ってるのは分かる。
黒白が一体何を目論んでいるのか分からない。

温厚そうに見えるのは外面だけ、なのに黒白は少しも内側を見せないことへの不審感が募った。

その仮面が剥がれた時の彼は一体どんな姿なのか…刹那的に過ってもそれは純粋な恐怖でしかなかった。


Psychedelic
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