一頻り泣いてまともに周りを視界に入れると酷い惨状。にも関わらず何も感じなかった。 ただ無造作に転がる瓶の中身が分かるだけに飲まなければいけない、でも飲みたくない相反する感情でまた頭が痛くなった。いや、それよりも今はとにかく早く体を洗い流したい。 だだっ広い浴室のシャワーに無心で打たれながら何を考えているのかもわからない。でも多分、10分以上はこうしてる気がした。いい加減出ようと思ってドアノブに手をかけて開けた瞬間、 「…!」 え…? 『…黒白?』 まさかの相手に一瞬訝しむけど頭がクラクラしているせいで今の自分の状況も理解していない。白黒は少なからず驚愕の目を向けているのは分かるけどタオルで覆ってもいない私を見れば少なからずわかる気がする。 「…少しは羞恥を持て」 『……え?』 何?よく聞こえない。 『っ…』 「!」 持っていたタオルで体を覆われる、だけど視界が白くぼやけて立っていられなくなって膝から崩れ落ちる感覚がしたけど次の瞬間にはなぜか黒白に抱き上げられていた。頭では分かってるし放っておいてほしい、だけど今は言葉にするのも難があった。 「…立っていられないほどお湯に浸かって考え事ですか?」 なんて皮肉交じりに言われたところで今は何も言えない。だから睨みあげてみてもそれすらほくそ笑むだけだった。 ご丁寧に部屋まで連れていってくれて脱ぎ捨てた服までもってきてくれた。だけど着る気なんて更々ない。受け取らない私を不審に思ったらしいけどひったくるように受け取ってゴミ箱に投げ入れた私を見て一層目を見開いた。 「どういうつもりですか」 『…関わらないで』 「それはできませんね。此処に居る以上は。それに現状を理解された方がよろしいかと」 『は…』 「面識が浅いといえど裸体に近い姿を晒されているのですから…何をされようと文句は言えませんよ」 『……』 「…仕方ないですね」 呆れた物言いながらも新しい服を持ってくる黒白はきっと私の世話係を命じられたんだろうって思う。 「薬は飲んだのですか?」 『…だから関係ないって言ってるでしょ?』 「そうでしょうか。ホルモンバランスが崩れているらしいので準備したのですが?それとも」 『…!』 「…男女の関係になられたのでしょうか?」 ふと頬に手を滑らせてきたと思ったらまさかの言葉に目を見開いた。 咄嗟に突き放すけど今の反応は露骨すぎた。 黒白はきっと知ってる。嘉録の部屋で何をされたのか。 …準備するように言われた薬の本来の意味も。 Psychedelic |