『え』 「あれ?どうしたのそんな顔しちゃって!僕に会えて嬉しい?」 『いや、それはないよね…』 「…相変わらずだね」 それは君だよ喰君…まさか単独でお見舞いとか…一体何のつもりだろう。表情が固まる私を尻目に差し入れというお菓子を傍に置きながら椅子を引きずってきた。 「どう?調子は」 『…悪くはないですけど』 「なら良かった。噂によると…殺されかけたらしいから?」 『!』 うわ…てかこの子こんな顔してやっぱり腹黒い。 「そんな顔しなくてもいいでしょ?本当のことなんだから」 これ食べる?と手持ちのお菓子を差し出されるも言動が伴っちゃいない。 だから余計に彼を見る目も厳しくなる。 「随分警戒されてるんだね僕」 『そうさせてるつもりなんでしょ』 「いつ化けの皮が落ちるのかなぁって」 『はい?』 「…蒼ちゃん、何の取り柄もないくせに随分馴染んでるからさ。おんぶに抱っこっていうの?僕等もこう見えて忙しいんだよね」 って言うなら来なきゃいいのに。でも喰君の言葉に後ろめたさは拭えないしそんな私にも気付いてる故の言葉。 「君は…一体何者なの?」 『……』 何者、そう言われても返す言葉が見当たらない。 改めて問われることがこんなに居場所が悪いなんて思わなかった。 『私「こんな質問にさえ動じるなんて尚更怪しいよね」…関係ない』 関係ないじゃんか…それとも、 「…っと!……え?」 『喰君が私を殺してくれるの?』 目を見張る喰君なのも無理はない。喰君の手を自分の首にかけさせたからで。 我ながら何やってんだろうって思う。 『いいよ』 「頭おかしくなっちゃった?」 『おかしいなんて今更』 だけど喰君は興味が失せたように手を退かすように払いのけてしまった。 目を伏せながら、だけどそこから垣間見る目の色は驚くほど冷めていた。 「やっぱり分からないな、蒼ちゃんは」 『分かり合えるほどの仲でもないですよね』 「なら分かればいいの?」 『は?』 今度は何…? 「平門さんだけじゃなくてどうして朔さんまで君を気にかけるのか僕には理解出来ない。あの人はああ見えて結構薄情だし…珍しく仕事が早いと思えば君の御守りとか?意味わかんないっていうか」 『はぁ…』 「だから僕も歩み寄ってみようかなって」 『……』 「すご、嫌そうな顔してくれるね」 『好きにすれば?』 「っていう今のが蒼ちゃんの本当の顔みたいだね」 『!』 まさか喰君…最初からこのつもりで? 「改めて、よろしくね」 『……』 やっぱり喰君…なんかあしらいにくい。 Psychedelic |