思い出せない。 「俺と蒼は…」 あの後すぐに目が覚めた。肝心な言葉を知り損ねて燻ってる反面、安心たのも事実だけどあれから睡魔は面白いくらいやってこない。要するに呼ばれていない。 自分からのこのこ会いに行くなんてことはしたくないし、誰かがそばに居てくれないとやっぱり不安。 「オイ」 『……』 「オイ、蒼」 『それでいつから居たの?』 「聞こえてんならさっさと反応しろよ!」 『ハイハイ…で、何かあったの?』 「……」 花礫だった。しかも一人でわざわざ私に会いに来たらしい。 「お前、本当にあそこの卒業生なのか?」 『クロノメイ…?』 「あのクソ眼鏡はああ言ってるしここに居るってことは闘員なんだろ?」 『…闘員とは限らないでしょ。あんた達と同じ』 「……」 『そんな顔されても困るんだけど』 「困ってる顔してねぇだろ」 『まぁ、いいじゃん。あそこはワケありな子どもの温床なわけだし誰だって人に言えない過去はあるでしょ?』 (過去…?) 何だろう、この変な感じ。 「蒼もそうなのかよ」 『そういうことにしといて』 …! 「蒼」 「?」 『ごめ、ちょっと一人にさせて』 何、このタイミングで何の用? 「知りたい?」 (嘉録…?) 「なら会いにおいで。今度は一人でね?」 『花礫…悪いけど一人にさせて』 「ちょ、オイ…!」 知りたいと思うような思わないような、それでも燻ったままはもっと嫌。 そう思っているうちに自室のソファに吸い込まれるように体を沈めた矢先に瞼が重くなった。 (ごめん…) 「蒼、会いにきてくれて嬉しいよ」 大丈夫…私の体はここじゃない。ちゃんとあっちに置いてある。 目の前で微笑む嘉録を見据えながら自分に言い聞かせた。 Psychedelic |