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「あの…申し訳ございませんが、円堂温子という患者さんは入院していらっしゃらないですけれども…」
病院へと到着した大介を待っていたのは、そんな信じたくもない言葉だった。

「―――君、一体どうしたんだね」
「あ、豪炎寺先生。実はこの方が病院にご親族の方が入院しているんじゃないかって言われてるんですけど、リストを見ても載っていないんです」
その現実を受け入れられなくて言葉を失った大介の近くに、1人の医者が寄る。
豪炎寺先生、という言葉を聞き思い出すのは孫の友人。
『俺のチームに豪炎寺ってやつがいるだろ?あいつの父さん、お医者さんなんだぜ!スッゲーよな!!』

「あなたは、豪炎寺修也の――」
「、はい。修也の父親の豪炎寺勝也と申します。…貴方はコトアールの監督のアラヤさん…でしたか」
アラヤ。その単語に言葉が詰まる。
それをどう捉えたのか、豪炎寺は息を吐いた。
「なにか事情がおありなのでしょう。会議室までお越しいただけますか?」




「そうですか。貴方は守君のお爺様なんですね」
「守をご存じなんですか」
「えぇ。…今どきにしては珍しい子でした」
そう言って、勝也はコーヒーを一口含み、飲む。
ソーサーにカップを戻すと、勝也は口を開いた。

「話を戻しましょう。一体守君に何があったのですか」
「…3日前、ライオコット島にこの病院から電話があったとイナズマジャパンのマネージャーが言っていた。円堂温子―――守の母親で、儂の一人娘が事故に遭って入院していると」
「…しかし、ここに円堂温子さんという方はいらしてません。確かに3日前事故はありましたが、軽傷でとても入院するほどではありませんでした」
「じゃあ、帰国した守は一体どこに」

「…一度、警察に行ってみましょう。もしかしたら、恐ろしい事に巻き込まれているのかもしれない」








「でもさー、もし円堂大介が警察とかに行ったらどうすんだ?ていうか十中八九行くだろー?なんせ自分の肉親が行方不明なんだし?」
「私がそこまで考えていないと思ったのか、ティファレト」
「お戻りになられましたか、コクマー様」
「あぁ、ケブラー。悪いがコーヒーをくれないか。久しぶりの感覚でまだ頭がクラクラしているんだ」
「お待ちくださいませ」


「んーで。コクマー、円堂大介が警察に行かない保証があるってことなのか?それは」
「唾液の付いた飴で人を指すな。…そもそも、日本における円堂大介はもう40年も前に鬼籍に入っている。そしてそんな状況で警察に行ってみろ、厄介なことになるだろう?」
「おー」
「早くまもるや娘夫婦を見つけたい奴にとっては大幅な時間ロスになる。だから行かないと踏んだ」
「あいっかわらずメチャクチャな理論だけど、お前がそうって言うならそう『なる』んだろうなー」
「まあ、どちらにしても相手が後手に回るのは非常に都合がいい。行動は早い方が断然有利になる。もしかしたら大した脅威も無く目的を達することができるのかもしれないな」












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