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「えーっ、エンドーはニッポンに帰っちゃったのかい!?なんでミーたちに教えてくれなかったのさぁ!」
「まぁそう言うなディラン。そんな余裕も無かったんだろう。エンドウにも悪気はないさ」
「でもせめて一言ぐらいは言ってほしかったなー。せっかくマモルに会いに来たのにこれじゃあ無駄足みたいなものじゃん」

「風丸落ち着け、まずはその後ろ手に持った金属バッドを手放せ」
「止めるな鬼道!悩んでたのが馬鹿らしくなったじゃないか!!」


トランプをしながらそう言う来訪者3人に、風丸がバッドを持って襲い掛かろうとしている。
そんな光景を見て、豪炎寺は1人ため息を吐いた。






場所は変わり、日本・東京。
大江戸国際空港を出た大介は、目を細めた。

40年という時間に置き去りにされた大介だが、それでもすべてが変わってしまったわけではない。
見覚えのある民家、古寂びてしまった店、そしてここからでも見える―――稲妻を抱く鉄塔。
(本当に、帰って来たのか…ここに)
もっとこの付近を散策したいところだが、今はそう言っていられない。
タクシーを捕まえるために、大介は歩き出した。




「ふぅん。円堂大介がやってきたな。行動は早いみたいだね、姉さん」
「だね。まあいくら行動が早くても、こっちの進行具合がそれを上回っているから大したことはないでしょ。僕としては怖気づいてもっと時間がかかると思ってたんだけどね」
「思ってもないくせに。…そろそろ動こう。――ダアトと、まもるが待ってる」
「うん。…いよいよ始まるんだ、僕たちの戦いが。守るために、排するために、総べるために」
「姉さん…ううん、マルクト。ボクたちは待ったんだね。何年も、何年も、彼を待ちわびて」
「でも、もう我慢はしなくていい。邪魔するものはもう何もないし、邪魔させるつもりもない。立ちはだかるモノは、退けるだけ」

そう言葉を交わして、2人は円堂大介から視線を外す。
白いコートを纏い、同色のフードをしっかりと被るその服装は誰の目から見ても明らかに不審だ。
しかし、その場にいる誰も――警備員でさえその姿を捉えることは無く、2人も周囲に誰もいないかのように振る舞う。
同じ背丈、同じトーンの声。
恐らく中学生なのだろうその姿からは、中学生にあるまじき言葉が発せられる。

「ねえケテル、まずはどうする?このままだと円堂大介は病院に行ってしまって、何が起きているか発覚しちゃう。…今のうちに、危険な芽は摘んでおくべきかな?」
「それはダメだよ。なによりあの子が許さないだろうし」
「まあそうだね。――じゃあ、今からがゲームスタートだ。もちろん、僕たちの勝ちしかありえないゲームなんだけど」



闇は、深まる。









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