初(ウブ)で、プラトニックな感じ。

そういうのを、彼女が望んでるから。

『大丈夫』って、自分に、言い聞かしてる俺がいて。

でもね、本当は彼女みたいに信じきれてないのかもしれない。

揺れ動く、その刹那は堪え難い。

だから、不安で、もっとギュってしたくて。

温もり感じたくて、仕方ないの。

好きだから、越えない。

けど、好きだからこそ触れたくて。

その狭間で、揺れ動く自分が、虚しくて、弱々しくて、キライ。


彼女を想う気持ちが強いほど、押し寄せて、締め付けてくるこの感情の塊がキライ。


けれど、笑って、抱き締め返してくれる彼女をみると、ホッとする。

そんな“キライ”も吹き飛ぶくらいに、また、好きになる。

彼女の、『何時かね』が何時になるのかは分からないけど、大好きだから待っていられる。


―――…

「拓乃、焦んないでよ。大丈夫だから」

少しの沈黙の後、彼女は、何時も優しく言い聞かせてくれる。

「うん」

その度に、落ち着きを取り戻す俺。


何時もの様に、我が物顔で、確かなぬくもりに、揺れ動く刹那なが覆う。


その後は決まってる。


必ず、揺れ動く刹那を、確かなぬくもりが包み返す。

そしてまた、繰り返しながら、

確かなぬくもりの、儚さと愛しさを知るの。


(そして、想いは強く、
   強固(カタク)なる)



―…チュッ

(…あれ?)

頬に不意に接吻(キス)されて、間の抜けた顔の俺。

「キスくらい、いいでしょ?」

言いながら、彼女は、悪戯ぽく笑った。

あとがき



(bkm/comment)

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