黄金の心

学校の先輩を見かけた。
「私に近付くなッ」
《しかしだなワシはお前のすたんど、だったか?…だから離れられないんだよ。いやあー残念だなあ》
「そう言いながら腹が立つほどの笑顔ッ」
その人はツレへと声を荒げている。しかしもう『ひとり』の声はフッツーの人には聞こえないからハタから見たら危ない人だ。
今はちょうど周りに人がいないけど、だからこそ今のウチに注意したほうがいいかもしれない。
「三成先輩ちはーっす」
「東方仗助か…」
「はは……あいかわらずの怖い顔っすね」
ジョーダン抜きでまじ怖ぇっすもん。吊り上がった目で睨まれると蛇に睨まれたカエルっつーの?生きた心地がしねーんだよなぁ…。
でも今はトクに恐ろしい顔をしてる。
「東方仗助、貴様のなんちゃらダイヤモンドでこの男をボコボコにしろッ」
自分のスタンドをそこまで毛嫌いしなくても、ってのは命が惜しいので言わないぞ。
そしてその頼みごとだって引き受けない。
「や、それはまじぃっすよ…んなコトしたら先輩だって……。そうだ!大谷先輩は?あの人のスタンドなら、」
「刑部は今日は委員会だと!私と委員会どっちが大事なんだクソッ!刑部がいないと調子こきやがってこの狸がァァァ…斬滅シテヤルゥゥゥ…」
なんだか先輩から黒い瘴気が噴き上がってるように見えるし、もちろん気のせいだろーが眼光が赤く光っている。
おれは先輩に気づかれないようジリジリと後退した。なんだこれ怖すぎる。
(こいつぁヤベーですよ…三成先輩は完全に『キテ』いるッ!なんでこんな時に億泰も康一もいないんだよぉ…)
こんなことならドラマの再放送なんてほっておいて、おれも億泰と一緒にトニオさんの店に行けばよかった。
おれ一人でどうやって先輩をなだめようかと思っていたら、
《さあ三成!ワシと一緒に絆を、っ!?》
《ヒヒヒヒヒ…》
掠れたような不気味な笑い声。
観音開きの棺、と例えたらいいのか黒い箱型のスタンドから白い布(たぶん包帯だろう)が何本も飛び出してきて先輩のスタンドに絡みついた。
クレイジーD以上のパワーのある先輩のスタンドでもほどけないのか、どんどん白が巻かれて身動きが取れなくなっていく。最後には頭のテッペンから足先まで一部の隙もなく巻かれてしまって…そう!これはまるで、そのまんまエジプトのミイラだッ!
《…!………!……!!》
《ヒヒッヒヒヒヒッ》
スタンドを攻撃されれば本体にも影響がでる。それがフツーだ。

でもそうじゃない!

「グ…グレートだぜぇ…」
一人胸をなでおろすおれなんか眼中になく、
「助かった刑部」
「ナニ、我に掛かれば造作も無い」
攻撃を受けたはずの三成先輩はけろりとした顔でそのスタンドの本体…大谷先輩のもとへ。
箱がミイラを飲み込んで消える。
それを確認しないまま二人はバス停へと向かおうとしていた。
つうか、おれの存在忘れてないっすか?
「センパーイ!さよーならっす」
「ああ」
「…ではナ」
返されたそっけない挨拶に承太郎さんのように「やれやれ」とも思うけど、まあそのほうがあの人たちらしいや。あーあ、おれもちゃっちゃと帰りますかねぇ〜。

承太郎さんがおれのスタンドを『この世のどんなことより優しい』と言ったが、それなら人を傷つけない大谷先輩のスタンドは『この世のなによりも穏やか』なスタンドだとおれは思う。



スタンド名→G.t.L(ゴッド・ザ・ライトニング)
本体→石田三成
破壊力―A スピード―C 射程距離―D(5〜6M)
持続力―D 精密動作―B 成長性―A 
・光り輝く拳で相手をブチのめす超パワータイプのスタンド

スタンド名→S.O.A.D(システム・オブ・ア・ダウン)
本体→大谷吉継
破壊力―無 スピード―B 射程距離―A
持続力―A 精密動作―A 成長性―SS(三成が危機に陥る度)
・どんなタイプのスタンドでも『本体を一切傷付けることなく』動きを封じることが出来る

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