憤怒、困る

これの続き

「さあ!説明してもらおうかっ!」
「「何を?」」
いきなりそう言われても。思わず俺と刑部…ツナヨシの言葉がハモる。
男が喚き声を上げながら頭を抱えた。
一人で騒がしいヤツ、近所迷惑になるから黙ってろドカス。と蹴りを入れたら余計に喧しくなった、ドカスめ。
さて、聞き苦しく喚く家光の言葉を何とか要約するとこんな感じである。
初対面の、しかも敵同士の俺とツナヨシが出会い頭に熱い抱擁を交わすのはおかしい何故だ…と。何故って…ねえ?
ツナヨシと視線を交わす。説明するか?…ヤツは首を横に振って返してきた。
だよなあ…言ったところで理解されないだろうし言うだけ無駄無駄ァ。
どうやって誤魔化すか考えないと……
「ぬしには…あなたには関係ないですよ沢田家光さん」
おいおい…本当の事でもそうはっきり言うなって。
ほら家光が、
「何この距離感!ザンザス!テメェよくもツナを誑かしやがって!」
うぜぇ。
掴みかかってくるヤツの腕を叩き落す。睨むんじゃねえよ。
さすが門外顧問、さすがボンゴレナンバーツーって鋭い眼光だが理由が理由なだけに恐ろしさ半減。
「ッハ!ワケの分からねぇ事ほざくなドカス」
もちろん俺は鼻で笑ってやった。
「だってそうじゃないか!昔は「パパ〜」って可愛かったツナがあんな冷たい態度っ!おかしいだろっ!」
嘘吐け、それゼッテー話盛ってるだろ。
そんな風にされた事一度もねえに決まってる、御宅の可愛い息子さんハァトがすげぇ顔を歪めてんぞ。
ああ、もしかしなくても思い出フィルターってヤツですか。それなら納得。
「オレのせいにしてんじゃねえよカス……扱いが悪ィのは仕事にかまけてコイツを放っておいたせいで父親と思われてねぇだけじゃねえか?」
「っ!?そ、そんな事ないよなっ?俺って父親だよな?ツナぁ…お前の父親だよなぁ!?」
縋り付く家光にツナヨシは曖昧に笑っている。こーゆう時のコイツは面倒だな、とか考えている確立九割九分九厘。俺のデータに狂いはない。
コイツにも超直感があったのか、それともツナヨシが隠す気ゼロなのが悪いのか、
「う、うぉぉおおおっ」
家光は膝から崩れ落ちて男泣きをしている。うぜぇ。
「家光泣きやめ。話が進まねーだろ」
「うおおおおおツナぁぁああ」
「……はぁ、聞いちゃいねーな。おいツナ、いいからさっさと理由を言え」
使い物にならない門外顧問に見切りを付けてアルコバレーノが口を出す。
しっかし、ソレがそんなに大事な事かね。
大事なのは何なの?『今』でしょ!!もう過ぎた事についてぐだぐだと話すよりももっとすべき事があるんじゃないかな…………例えば指輪の事とか。
「生き別れの兄弟の感動的な再会…みたいな?」
「ふざけてねーで真面目に答えろダメツナ」
「今のオレの答えで納得いかないならお前には何を説明しても無駄だよ」
完全馬鹿にしきった調子でツナヨシ。アルコバレーノが苛立ちに銃口を向ける。
視線で火花が散りそうだ。
何でそんなに仲が悪いんだよ、仮にもカテキョーと生徒じゃねえのか!?
「テメェら何で殺し合いでもしそうな顔で睨み合ってんだ!?ちったぁ落ち着けッ!」
「だって、」
「…ッチ」
俺暗殺部隊隊長で、しかもどっちかってゆーと敵だよな?
それがなんで仲裁みたいな事してんだ。

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