中の人とかそーゆうアレ禁止だから(2/2)

「ヤレ驚いたオドロイタ。思わず逃げてしもうたワ」
空惚けた顔して何言ってんだか。
「……貴様が暴れたせいで逃げる羽目になったんだからな?」
「…スマヌ」
なんたって通り魔事件起こしちゃったもんね、いつまでもあそこにいたら捕まってしまう。
もういい、過ぎた事だこの話はやめよう。
それにしても町並みは現代風なのに道行く人は着物ばっかりだ。変なの。
まあ私たちの格好が目立たなくなるからいい……無理か、戦装束は無理か。それに刑部が浮いてるからな!そのままの意味で!
通り過ぎる人の視線が集まってる、二度見して行く人もいる。こんなのいたら私だって二度見してく。
こんな目立つのはちょっとどころではなくマズイ気がするぞ。
とにかく現状を考えるにも人目のないところへ移動しよう。そう刑部に言、
「おい刑、」
「廃刀令のこのご時勢に堂々と持って歩いてるヤツがいるとはなあ。おいアンタ、ちょっと屯所まで来てもらおうか」
…おうとした言葉は誰かさんの言葉に遮られる。なんて場の空気を読めないヤツだ。
声の方へと目をやると、瞳孔開きっぱの男が煙草をふかしていた。
えーと、誰だったかな。知ってる人間のような気がするのだが誰だったか……、あ。
「抵抗するなら力ずくでも、」
「ああ、何だ青いのか。片倉はどうした今日は連れていないのか…ん?眼帯をしてないが…まさかこじらせた厨二病が治ったのか!?」
片倉とか眼帯とかなんかいろいろ付属品が足りないけれどコイツは独眼…ルーに間違いないだろう。
自信を持って、かつフレンドリーに話し掛けた。
「待てマテ三成。マ、ちと待て。その男の顔をよう見ろ、伊達ではない」
だが制止された。
ははは刑部何を馬鹿な事を…
「……。ッ!?貴様は誰だーッ!」
どうやら中の人が同じだったから錯覚してしまったようだ。ううむ、なんて孔明の罠。
「〜〜〜っ!!!…ふぅー……俺ぁ真選組副長土方十四郎だ、てめー勝手に人を誰かと間違えた挙句に、」
「ところで多串、何の用だ」
「っ!!誰が多串だぁ誰が。俺ちゃんと名前言ったよなぁあ?何だてめーの耳は飾りか、そうなのか。俺の名は土方だ覚えとけっ」
「はいはい、分かった分かった…で、何用だ」
一体何に怒っているんだ。
まったく怒りっぽい野郎だな。高血圧で倒れても知らんぞ。
「廃刀令を存じねえとは言わせねーぜ。とにかくその腰に下げたモンを寄越せ、そして大人しく屯所に連行されやがれ」
「…だってさ、刑部」
「帯刀しておるのはぬしだが」
廃刀令、ねえ…つまりは利き腕と共に刃を差し出せという事か。イラッ。
「多串!貴様ァアァッ秀吉様から賜ったこの刀を差し出せと、そう言うつもりかァッ!」
「よーしそうかてめーの頭はスッカラカンなんだな?俺は多串じゃねーっつってんだろーがぁ!てめーといいあの銀パ侍といい人の名前を捏造しやがってよぉー!!」
「叫ぶなウルサいッ不愉快だッ」
「てめーの方こそ叫んでんじゃねーかーーっ!」
唾を飛ばす勢いで叫んでくる多…土方。
あーもう、なんだよ。私は中井君と相性が悪いのか?

その後屯所とやらに連れて行かれた私たちは危うく残飯(カツ丼with山盛りマヨネーズ)を食わされそうになった まる

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