暴走するのはいつもお前だ

ヤァレ、恥ずかしき事。
「は、な、せェェェッイィエェヤァスゥウッ」
「ワシは許可していないぞ!」
受験生等の集うこの教室に三成の絶叫と徳川の戯言が響いた。
おお、視線が集まりおるワ。
薬師…とか言うたか、三河の狸以上に腹の黒い蛇の手下の狸が顔を歪めたのを目敏い我は気付いたぞ。…マ、彼奴は見るからに神経質そうだからナァ。
人の目を集めておるのに未だにやいやい言い合う二人の脇をすり抜けて室内へと。
「徳川、いい加減に諦めよ。今更ぬしの許可など要らぬ」
「何でなんだ刑部!担当上忍のワシの許可なしで、」
「火影様に許可を頂きに行ったワァ」
「くそっ、余計な事を…」
「ぬしが何時までも駄々を捏ねておるでナ…ヒヒ…」
こうでもせぬと我と三成(特に三成)は何時までも下忍のままな気がします。
じとっと睨み付けてやろうとも、
「いや、でもなあ、ほら、まだ三成に中忍試験は早いんじゃないかなって…」
まだ何やらもごもごと言う徳川。言い訳いくない。
「私を見縊るつもりか家康ッ」
「そうじゃない!だが……怪我するかもしれないじゃないかっ」
呆れた。
怪我をするかどうかで言えばするであろう。
しかしそれは忍ならば当たり前なのではないか怪我の一つや二つでぐぢぐぢ言うな、とか言うてしもうたら「それなら三成、忍をやめてワシの嫁になれ!」だとか迷言を吐かれそうなのでお口にチャック。
徳川の世迷い言に三成はキッと目を吊り上げ、
「ッチ、食らえ腎臓パンチ!」
「ぐ、おっ」
「食らえ、食らえェッ…血尿が出ればいいッ」
武力行使に出た。可愛げ一切ゼロの身体破壊攻撃だが…まあ彼奴の自業自得故、同情はせぬ。
暴れる三成を放って、他人の振りで適当に座ろうか…と思っていたら、
「あの人は相変わらずか」
「あい…すまぬナ、騒がしくして」
日向ネジが呆れた風に。彼奴が声を掛けてくるとは少し意外。
ギョウブ君お久しぶりです!とか眉毛…こほん、ロック・リーが無駄に熱く挨拶してくるがそれは我の名ではないぞ。
久方振りに顔を合わせる同窓は相変わらず……相変わらずな様子だ。
ちょうクールと熱血に挟まれて、さらにあの担当上忍で大変だろうテンテンに労いの意味で目をやれば肩を竦めて返された。
あなたも大変そうね。そう言われた気がしたのは気のせいであって欲しい。
騒ぐ声に比例して見た事あるような木の葉の後輩がこっちをちらちら、他の里の者たちの殺気が増していく。
大物なのか無頓着なのか、煩わしいそれに三成が気付く事はない。
徳川?彼奴は気付いていて止めないだけよ。
「み、三成っ、やめ、そろそろやめてくれ!痛い、破裂する!……あ、でもちょっと快感かも」
「ッ!?死ね!死にさらせ家康ウゥッ!」
三成と徳川の攻防は森乃試験官が来るまで続けられた。

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