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さて、二次試験も無事(?)終わり次の目的地へはジジイの乗って来た飛行船で行く事になった。
豆みたいな形をしたヤツが「明日の朝八時、到着予定です」と告げる。確かコイツはナンバープレートを配ってたヤツだな。
「ゴン!リィア!飛行船の中、探検しようぜっ」
キルア君の声が聞こえる。
子供は元気だなー、とか他人事のように思っていた…のだが、
「ミツナリィ!ミツナリもボクらと飛行船探検しよっ!」
「断る」
何故私を誘う。勝手に行ってくればいいだろうが。
「ええー…ミツナリさん!探検行こうよ!」
「断るったら断るッ!」
面倒だ、と大人げなくもすっぱりきっぱり言ってやろうかと思った矢先。
「ヒヒヒ…行ってくるが良かろ」
「!?」
何という事だ。刑部に裏切られてしまった…!
絶対面白がってるよ、アイツ。

まあだから、仕方なく…仕方なく!右手をゴン君に左手をボクっ子に引っ張られながら船内を徘徊した。ふう、子供のお遊びに付き合ってやるとはなんと私は優しい人間なのだろう。
キルア君はいかにも「ったく、アイツらはしゃいじゃってしょーがねーな」って顔でついて歩いているが、その実誰よりも楽しんでそうだ。素直じゃないな。
船内をある程度見回って気が済んだのか子供達は今は展望スペースで遥か眼下の夜景を眺めていた。
「うわー!すげー!」
「宝石みたいだね」
「うんっ!すっごくキレイ!」
子供達が歓声を上げるだけの事はある。確かに綺麗だ。
星空のように散りばめられた灯火が瞬いてははるか後方へと流れていく。
……まあ少しは探検面白かったかな……だなんて言ってあげないんだからね!
「キルアのさ……」
「んー?」
「キルアの父さんと母さんは?」
主人公君が神妙な顔で唐突に言う。
「生きてるよ、多分」
「何してる人なの?」
「殺人鬼」
「両方とも?」
「あははっゴンったらおもしろーい!」
主人公君がごくごく真面目な顔で返す。それが面白かったのだろうかボクっ子が笑い転げた。
うーん…つか、一族全員殺人鬼だよね。
いやでも『殺人鬼』って響きがなんか悪いよな。アイツ(やゾルディック家)はただ単に仕事として殺しをしているだけで快楽殺人犯ってワケではないからちょっとこうニュアンスが違うような気がしなくも…
「ハンターになったらまずうちの家族とっ捕まえるんだ。きっといい値段で売れると思うんだよね」
楽しそうに言うセリフじゃないぞキルア君。

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