若しくはよく似た他人(1/2)

胸焼けしそうなくらいに積まれた饅頭やら団子やら…。
それを食す目の前の二人には呆れて言葉もなかった。
「三成も食え。顔色が悪い…どうせ普段から飯を食っていないのだろう」
コレはどうやら私自身らしいと刑部に説明を受けたがよく分からん。
馬鹿のように甘味を食す行動から見てもコレが私だとは到底思えなかった。
「…いらん」
「さようですぞ石田殿!石田殿の言う通りにござる。ささっお一つ…」
「いらんと言っているだろう!」
出された何かを押しやると、すぐキレるー、とよく分からない事を言いながら笑う男。
それにつられてかよく分かっていないのに真田も笑う。ひどく腹立たしい。
大体貴様は私と同じ顔でへらへらと笑うなッ!軟弱者めがッ!
まるで家康への憎しみを忘れてしまったかのような笑い顔が癪に障る。
「貴様らッ」
怒鳴りつけてやろうと口を開いた時だった。
「今でござるっ」
「合点承知之助!」
「ゥグッ」
真田に羽交い絞めにされ、同じ顔の男に口に何か入れられてしまう。
無理矢理詰め込まれた何か…大福だろうか…口を押さえ付けられ吐き出す事も出来ずに否応なしに咀嚼させられた。
「私が好きな味だから気に入るに決まっている。美味いだろう?」
得意げに言ってくる私と同じ顔が心底憎らしく思うが、
「………」
悔しい事に…美味かった。

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