ロンリーガール | ナノ

07祭りの前に


今日はアリス祭の前日!


各々の準備が終わっている中、
特力は最後の作業に取り掛かっていた。






「翼先輩そっちやないで、もっと右や右!あ、こんどは行きすぎや!!」



何をしてるかと言うと、ミスターミスコンの会場である舞台の一番上につける横幕を必死に取り付けていたのだ。



「あれ…そういや里保ちゃん今日は来んのかな?」


「里保だったら棗のとこに行くって走ってったぞ」


「翼先輩終わったんか、てか棗に里保ちゃんとられた!!」

















「な…棗く、くん?」


「………おい」


「は、はいっ!」


「お前起きてたな?」


「里保起きてな「起きてたな?」……はいです」



いつもの木の下。
この前の事を聞いてしまった為、
頑張って名前で呼ぶと……

怒られました。ばれました!




「ごめんなさい…でも里保は日向、いえ棗くんが嫌ならちゃんと呼ぶべきだと思うんです」


「別に、呼んで欲しい訳じゃない。俺が聞きたいのは影より下に思われてたことだ?」



影、翼先輩ですか…?
下とは一体なんのことなんでしょうか…。


棗くんは里保に視線を移すと真っ直ぐに紅い瞳が突き刺さりました。


逃げようと思っても逃げられない、そんな瞳です。





「下にだなんて思ってませんよ?里保はそんな差別しません」



「だったら実際、なんで俺だけは苗字だったんだよ」


「あう…えと……里保は、その…」



なかなか言い出さない里保に棗くんは溜め息を吐き捨てた。




「…もういい」



棗くんは立ち上がり此の場から立ち去ろうとしました。



言わなきゃ、言わなきゃ行ってしまう。まだまだ話したい事があるのに!!






「怖かったんです!!!」



「………………は?」




「棗くんってあまり人を近付かせない空気あるじゃないですか」



「だから、それと関係なんか」


「あります!!怖かったんです、慣れ慣れしくして嫌われたらどうしようって、里保は真剣に考えました!」



自然と涙が溢れてきた。
寂しげな気持ち、誰かが居なくなってしまうのはとっても寂しいから。



「ごめ…ん…なさい…」



「……悪かった、行かねぇから泣くな」




棗くんは里保が泣き止むまでずっと頭を撫でてくれました。


優しくて落ち着ける温かな手。










(里保は明日が楽しみです!)
(ミスターミスコン出るの忘れてんのか?)
(はう!?…忘れてたかったです)

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