06それは特別な
「日向くん!今日は特力行かないんですか?」
……こいつ、昨日あんだけ言ったのに今日になれば態度は戻っていた。
「行かねぇ…」
「里保は午前中に行ってきました!翼先輩もいたし、美咲先輩もいっぱい居ました」
楽しそうに笑顔で言う里保に少しだけ腹がたった。
翼、美咲って……
俺は日向くんで影は翼先輩。
なんだよこの扱い差は。
呼ぶか呼ばないかはどうだっていいが影より下ってことがうぜぇ。
「日向くん?ぼーっとして…ひょっとして風邪ですか?あ、眉間に皺寄った!!」
「うるせぇ……ったく無自覚とかだったら、ますます腹が立つな」
「え!?里保怒らすようなことしましたか?」
「別に…」
「んー……日向くん!
今日は体質系のお友達を」
「だが断る」
「な、なんでですか!里保は里保は本気ですよ?」
残念そうに口を少し尖らせその場で体育座りをした。
「今日は眠い、それに行くなら1人だって行けるだろ?」
「日向くんが一緒じゃなきゃ意味がありません!!あ、なら今日はお昼寝しますか?天気も良いしこの木の下は陽当たりも良好です!」
そえ言うと里保は俺が寄りかかっていた木に同じように寄りかかってきた。
「隣り失礼します〜!……暖かいですねぇ…」
「はぁ……お前は本当にころころと変わるよな」
「えへへ…」
「おい」
「…………」
呼んでも返事がこない。
寝たのか…。
隣りを見ると気持ちよさそうに寝ている里保。
「お前さ、何だよ日向くんって、……誰より何よりとか言っときながら…」
勿論返事なんて返ってくる筈がなく、俺は里保の頭を撫でた。
「ばーか」
俺も再び目を閉じた。
(な、な、な、何ですか今の!?)
(チッ……苛々するぜ)
(起きていたなんて言えません…)
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