ロンリーガール | ナノ

15花のアリス


佐倉がどうしてもって言うから参加した。


この最終審査もあれよあれよと勝ち進んでしまったけど……



「あ、木乃口さんです!」

「………………」



こいつ…確か日向とよく一緒にいるやつ、名前忘れたけど。



「無視はよくないですよ〜!」


「はぁ…うっざいんだけど……なに、何か用あんの?」


「ふふ、実はですね!……なんと里保が決勝の相手なんですよ」


「……は?」



こいつ大丈夫か?
いやむしろ特力の方が大丈夫か?




「里保すごく強運なんです

1回戦の人は腹痛で、
2回戦は客席から投げられたバナナの皮に相手の人が滑って頭を打って、
3回戦はクイズだったので!」


……有り得ない。
流石は特力とも言える馬鹿っぷりだ、あいつらやる気あんのかよ!!!


こっちとら影にドッペルゲンガーに無効化ときたんだぞ!




「確か決勝は勝者同士が戦うんだったよな?」


「はいです!里保は棗くんをギャフンと言わせるんです」


「日向も優勝したら?」


「………どうしましょう」



意気込んでいた表情はみるみると
変わり、日向も優勝した場合を悩みだした。


蜜柑は人懐っこいし好き嫌いしないから こいつを好むのも分かる。


でも、
日向まで気に入ってるとは
一体どんな奴なんだよ



……まぁ戦えばわかるか





「そろそろ行くぞ」


「あっ、待ってくださーい」







───────────





『レディースアンドジェントルマン!いよいよ中等部女子の決勝が始まるぜ!司会進行はこの俺、安藤翼がやらせてもらう!』



黄色い声援など無く、
「安藤引っ込めー」
の声が多数聞こえてくる。


翼はそんなヤジを軽くスルーし、司会を進めた。



『1人目は危力系の新しいお姫様
木乃口 美奈姫ーっ!
 2人目は謎だらけなニューヒロイン?小倉里保ーっ!』




「そう言えば、お前のアリス知らない」


「里保のアリスは、その、見てのお楽しみです!」



里保は美奈姫の顔から視線を反らす、



カァアアンッ!!

と開始の合図である音が鳴る。



先に動きだしたのは美奈姫、
そこにある筈がない花たちがどことなく存在していた。



「うわぁ…花です!」


「喜ぶなバカ…」



美奈姫のアリス、
花降らしのアリスはその名の通り花を降らす能力であるが……



「あたしの能力は応用すれば凶器にだってなる」


「応用、ですか?」


「植物を自在に操ることが出来るってわけ、毒でも棘でも何でもやってやれるの」



里保のアリスが分からない美奈姫は相手の出方を伺うため口で脅しにかかるが、

里保は唯々、美奈姫のアリスに関心していた。




「このっ…真剣にやれッ!」


美奈姫は針を出現させると、
里保に向けた。



手始めに1針飛ばすが、

里保に当たる事はなかった。



「無効化か…?」


「ふぇ?里保は無効化のアリスは持ってないですよ?里保のアリスは治癒の筈ですし……」


「(無意識に発動したのか…?)」




美奈姫はもう一度里保を真っ直ぐ見つめると、

直ぐに溜め息をついた。







(なんだかなぁ…)
(ど、どうしましょう)

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