ロンリーガール | ナノ

14曖昧リズム






棗は第2審査を難なく突破し控え室に戻ってきた。


控え室を見渡すと、顔が真っ青なままの人もいれば、項垂れてる人もいる。




先に審査が終わった女子の方を見ても同じ状況で、半分魂抜けてそうにボーッとしている里保を見つけた。





「おい里保」


「………棗くん…読心術って恐ろしいです」


「そんな事より、審査は通過したのかよ」


「勿論です!里保も最終審査まで行くことが出来ます」


「んなこと大前提だろ」


「わわ、髪の毛がぁ…」




棗は悪戯に微笑み里保の頭をくしゃくしゃっとした。


なんてしていると特力の係員が待合室に入ってきた。




「次はアリス審査なんで動きやすいよう制服に着替え直しといて下さーい」



それだけ言うと係員は忙しそうに出ていった。






「そういや…お前のアリスのこと全く知らないな…」


「そっ…それは……秘密、そう秘密です!!お楽しみというやつですよ」



慌てて目を反らす里保に棗はさらに質問を続けた。


「…今さらだけど、お前って普段はどこで何してるんだよ」


「それは……内緒です…」


「なんでだよ」


「言っても意味がないからです」


「それは俺が決める事だ」


「里保は知られたくなですし教える気もありません!」




里保の顔は辛く悲しそうで棗と目を合わせようとはしなかった。



「……わかった、別に俺には無理に聞き出す権利も無い」


「ごめっ…んな、さい……」


「泣くななよ馬鹿」












「えーと…なんかシリアスなんかよく分からんけど……2人はよ着替えんと間に合わんで?」





「みっ蜜柑ちゃん!?」


「空気読めんくてごめん!!」


「いや、あのっ…」


「燃やすぞ水玉」


「マジで炎出すの止めてもらうます?」




この空気にやってきた蜜柑。
里保はホッと肩で息をした。


あの空気に耐えきれる事が辛く、
蜜柑は救世主のようなものだ。



「蜜柑ちゃん」


「んー?」


「里保着替えてきますね」


「そういえばまだやったんな」


「はい!」





里保が待合室から出ていくと棗は大きく溜め息を吐いた。


その顔は不満ですと言っているかの様で、イラついていた。




「棗、里保ちゃん泣かせたらあかんで!今もめっちゃ辛そうだったやん」


「うるせぇ…お前には関係ないだろ。こっちの話に入ってくんな」





俺だってわかってる。
泣かせたいわけじゃない。



誰にだって隠し事はある、
でも俺は其を知りたがってる。



……あいつが、
里保があんな辛そうな顔をするから。

絶対に普通な事じゃない。
なにかがあるんだ。



助けてやる、逃げたりしない。








(里保は里保です…)
(思った以上に惚れてんだな俺)

prev / next
[ back to top ]

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -