ロンリーガール | ナノ

13仕方無い、と微笑って







中等部男子の部門も無事に審査が終わり、棗も第1審査を通過していた。




「棗がこういうのに出場するなんて、珍しいね?」



「流架、お前も出てたのか…」




第1審査の執事服のネクタイをうざったそうに緩め棗は視線を流架に移した。




「…負かしたい奴がいてな」


「負かしたい奴?ああ、小倉だっけ、棗がよく一緒にいる」





「まぁな…流架こそ」


「俺は今井が勝手にエントリーして!エントリーの取り消しは利かないって言うから仕方なく……」




はぁ、と流架は溜め息を吐く。

視線を流架から待合室の入り口に移すと里保が小走りで棗に近付いてきた。





「棗くん!」


「涙の後出来ててブサイク」


「いきなり酷いです!」


「で、何の用だよ」


「スルーですか…あ、そうだ!」



思い出した!と言わんばかりの顔をするも、その顔は見る見ると青くなっていった。




「な、なんと!第2審査の
審査員が心読み君なんです!!」



「「「「はぁっ!!?」」」


それを聞き、里保だけではなく待合室にいる第1審査を通過した他の人も顔を青くした。





「ああ…あんなことやこんなことまで言い当てられちゃうんですかね!?」


「落ち着けバカ」



棗はそわそわと落ち着かない里保の頭を叩いた。



「痛いっ……最悪です棗くん!」



「うるせぇ、もしかして負け認めんのかよ?お前が負けたら1週間奴隷な」



「…み、認めてません!!じゃあ里保が勝ったら棗くんを1週間奴隷にします!」


「やれるんならな」


「むぅ…!」



納得いかない、と里保は頬を膨らます。

棗はそれをつついた。




「ちょ、や…やめてくだひゃ…い」












「…棗も素直じゃないな、仕方ないんだから」



流架は抱いていた兎を撫で棗と里保の方を向き苦笑いをした。








(棗くんは後ろめたい事ないの?)
(……もう暴露済みだし)

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