ロンリーガール | ナノ

08自覚症状



全4日間に分けて行われるアリス祭。


今日は1日目の模擬店祭。


蜜柑たち特力の出し物は2日目であるパフォーマンス祭に該当する為、今日はフリーであった。



今日は蛍が一日中自分のお店に付きっきりなので蜜柑は里保達と回ることになった。







「何でテメェがいるんだよ…」


「いいやーん!今日は蛍お店離れられへん言うてたんやもん、あんたかて何で里保ちゃんとおるん!?」



「棗くんは里保が誘ったんです!でも里保は蜜柑ちゃんも居てくれると嬉しいです!!」


「めっちゃ良え子や!」



天使やー!と叫びながら蜜柑は里保に抱き付いた。



「あう…苦しいです…」



「チッ……さっさと行くぞ」



苦しがる里保を蜜柑から剥がし棗は足を進めた。

里保は乱れた髪を直しながら急いで棗の後を追った。


















「あ!蛍のお店や!!なぁ…棗、行ってもいい?」


「里保も行きたいです!」



蜜柑と里保二人に詰め寄られた棗は溜め息を吐いた。



「……仕方ねぇな」


「ありがとう御座いますです!!」



蛍のお店は外からでも分かる程人で溢れているためなかなか入れなかった。



「蛍ちゃんのお店凄いです…」


「せやなぁ…うち何時間でも待つけど里保ちゃん他んとこ行きたいやろ?」


「はい、可能ならば…」


「せやったら棗と行ってきな?良さげなもんあったらキープしとくし!」



「ありがとうございます!!」




里保は蜜柑に笑顔でお礼を言うと棗の所に小走りで戻った。


途中、蛍のお店に凄い勢いで走っていく富豪とぶつかって倒れてしまった。




「いたた…」


「大丈夫か?」


「あ、翼先輩!大丈夫です!!
んと…そちらの方は誰ですか?」



翼の姿を確認し、立ち上がり制服についた埃を払い翼の横にいた人物に視線を移した。



「ああ、こいつは俺の親友の」


「要です、あの」


「おい用無いならさっさと行くぞ」


「なっ棗くん!!」




横入りした棗は里保の腕を掴み、翼に向けて睨みをきかせた。















「棗くんは翼先輩が嫌いですか?」



「んでだよ…」


「前も翼先輩に対して突っ掛かってたんで里保は気になりました」


「別に、なんとなくだ」


「里保は翼先輩が嫌いではないので棗くんにも仲良くなって欲しいです」


「それは無理な話かもな……それより、さっき倒れてたろ。大丈夫かよ」


「もしかしなくても里保のこと心配してますね?うはぁ里保は幸せです」




ニコニコと笑顔を崩さず里保は棗の手をギュッと握った。




「ありがとうございます!」


「………馬鹿やろう」



里保に聞こえないくらい小さな声で棗は呟いた。





「棗くん!あのお店可愛いですよ
行きましょう!!」



握ったままの手を引き里保は走った。






「(自覚させられた……)」





まだまだ楽しい時間は続く、
短い時間のなかで沢山の幸せを。



アリス祭本番はこれからです!








(なんで、こいつなんだろうな…)
(棗くんどうかしましたか?)

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