街でとある子を見かけた、というか今日は彼女を探していた。彼女と云う人間を、その心情を知りたかったんだ。だから彼女に近寄っていく。 「やあ、名前ちゃん」 「どうも臨也さん」 「髪切ったんだね」 「はい」 短くなった髪に触れ、綺麗な黒が揺れる。勿体無い、心からそう思った。しかし人間はなんでこうも単純なのか不思議である。 「んー、似合わないね」 「やっぱりもう少し短くすればよかったですかね?」 「違くて、君が失恋して髪を切ったから似合わないんだよ」 失恋で髪を切るなんて、本当に単純で面白い。でも俺が彼女を愛しているように彼女も俺を愛するべきだ、だから俺にはその短くなった髪の毛が気に入らない。 「似合わない、でもかわいいよ」 矛盾が揺れる 20110327 |