髪切りました | ナノ





いつしか仲良くなっていた女子がいた。その日屋上に現れた彼女は髪を切っていた。


「よお」

「滝口、」

「かわいいじゃん」

「え?」


髪と言ったら、あーなんて返ってきた。困っているように見えた彼女にまた話題を振る


「俺と長さ変わらないな」

「そうだね。…ねえ、滝口」

「ん?」

「髪切ったのさ」


うん、と俺は相槌を入れながら彼女の声に耳をすました。空が綺麗で彼女が作った少しの間が時間が止まってる様に思えた


「失恋したからなんだ」

「…ごめん。かわいいなんて言って、無神経だった」

「私こそごめん、こんなこと滝口に言って」


仲が良い方だったからもしかしたら、なんて期待していた。でも彼女が本当のことを言ってくれるのが俺でよかった、なんてずるい考えを持ってる。


「ずるいよね、失恋したから髪切ったのなんて言って。同情が欲しいみたいで」

「別にいいと思うぜ、誰かに弱さ見せないとやってらんないだろ?」


さっきと変わらない空を見た。言葉を紡ぐまでの間が今度は時間が動いているように感じた。


スカイブルーの間



20110413
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