久々に会ったら印象ががらりと変わっていた。そんな女に自販機で買ったジュースを渡した。 「どうも」 「短けーな」 「そうですか?」 人が変わったかのような錯覚は髪が短いのと淡々と話すからだろう。いつもはもう少し明るい。 「ああ、でも似合ってるよ」 「ありがとうございます」 「失恋で髪切りました、ってやつか?」 「よくわかりましたね」 冗談だったんだか本気で言ったんだか自分でもわからねえが、あっさりと返答されてしまい少し困ったが驚くほど冷静に俺は怒っていた。 「よし、そいつ呼んでこい」 「え?」 「ぶっころす」 「…気持ちだけでいいですよ、静雄さん」 その笑顔を見て徐々に怒りが引いていく、いつものだと。髪の長さは変わっても彼女は彼女だ。 「見返す為にいい女になりますから」 「がんばれよ」 彼女の目標の邪魔になると思ったから十分いい女だよ、という言葉は飲み込んだ。 変わらない視界 20110326 |