髪切りました | ナノ





ワゴン車を止めて、フルーツ牛乳を飲む。うまい、これに限る。そろそろ遊馬崎と狩沢迎えに行かねえと、とぼんやり考えていたら渡草さん!と声をかけられた。


「こんにちは」

「おう。…って名字お前」


目の前に現れた名字の髪が短くなっていて、俺は少しパニックになっていた。彼女が少し苦笑いした


「似合ってませんかね?」

「いや、んなことねえけど」


似合ってはいる、似合ってるんだ。でも急すぎて、心配や疑問しか出てこなかった。


「なんでお前髪切ったんだよ」

「え?」

「しかも俺より短いし」


そうですねえ。といつもと変わらぬ笑顔で彼女は呑気に答える。その態度に少し腹が立った


「失恋しちゃったから?」

「疑問系だし古いぞ」

「でも、まあ事実ですよ」


そんな男より俺のが彼女のことを見てたんだ、好きな奴が失恋したなんて聞いて苛つかずにいられるか。


「いい男探せよな、」

「はーい、渡草さん髪ぐちゃぐちゃになります」

「うるせー」


髪をぐしゃぐしゃと撫でる、それをちょっと続けてる。今日はこれで勘弁してやろう。


ショートカットに憂鬱
(似合ってるくらい言ってやるか)(と思っても、口には出せないもんだ)




20110502
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