あれ、と思ったのは知り合いの女の人を見つけたからだった。なんか変わった気がしたので、ぼんやりと彼女を見ていたら目が合い彼女はこっちへやってきた。 「帝人くん、久しぶり」 「名字さんどうも」 彼女はよく狩沢さんや遊馬崎さんたちと行動してる人だ、一人だなんて珍しい。久しぶりに会ったけど少し雰囲気が違う。しばらく考えていたけど答えがやっと見つかった。 「髪切りました?」 「あ、わかったー?」 「はい、雰囲気が少し違かったので」 彼女は自分の髪の毛に触れながら僕の顔をじっと見て、そしていつもの様に笑った。でもなにか違和感があった。 「切ったの少し前なんだけどね」 「そうなんですか」 「少し伸びたけど、切ってから帝人くんと会うのは初めてだもんね」 「はい」 何だろう、何か彼女の笑顔にいつもはない何かを感じる。何か引っかかって、モヤモヤとする。ああ、いつもみたいな何一つ悩みがないというような彼女の笑顔がない。僕はそれが見たい。 「あの!」 「ん、なに帝人くん?」 「あんまり無理しないでくださいね、」 「ありがとう」 そう言ってからまた明るくでも雲が掛かった天気みたいに笑う彼女を、なんとなく切ないと思った。 違和感ばかりの笑顔 20110529 |