小説 | ナノ



 もっと深くもっと深く君を愛そうと決めたはずなのに、今はどうしてこんなに好きなのだろうと悩む日が続くのだ。


「好きっすよ」


 だからついつい言葉に出してしまう日が続く、彼女の顔を見たら悲しそうだった。
あれ、なんで?


「私はゆまくんの言葉が信じられないよ」


 こんな顔を彼女がしてたのは、いつからだった。愛を伝えようと必死だっただけなのに可笑しいな。


「どうして、っすか」



 にこりと笑ってわかってるはずだよ、なんて言う彼女を心の中でこっそりと否定した。


「ゆまくんがその言葉を言いすぎだから」
「ただ俺は言いたかっただけで」
「知ってるよ」


 言いたかっただけで本当は好きの言葉の意味が段々薄れていくのがわかっていたから、もう言えない。



「それにね、私がその言葉になれちゃったからなんだよ」


 堕ちて堕ちて、もう逃げられない。言葉に出せなくなった自分の君への感情が恐ろしい。

 でも好きな気持ちは本当だったんだ。形ない方がよかったのかなんて、俺にはまだわからない。ただまた彼女に笑って貰う為に、やり直したい。そう思ってるのはきっと二人一緒。


うすれていくのは



20120123

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