小説 | ナノ


 

「新羅、好き」
「何度も言ってるだろう?」


 私はこの言葉を聞いて、出たと思った。私が好きと言う度に何度も何度も新羅は作り話を私に言う。


「僕らは前世では結ばれてたんだよって」


 私を宥めるようにこの言葉を言うんだ。後にはきっぱりセルティが好きだから駄目だと言うくせに、遠回しに駄目なんだと私に言い聞かせる。


「俺は今セルティが好きでセルティじゃなきゃ駄目なんだ。きっとね、前世ではセルティとはすれ違っただけ」
「ふーん」
「それが今では結ばれてる素敵だろ?」
「あっそ」


 そうやってなんだかんだ新羅は優しくて、恋愛ではないけど新羅は私を好きでいてくれていて大切にしてくれている。


「君は今僕に恋をしている、何百年も僕を思ってるそれも素敵なことだよ」
「…新羅、好きだよ」
「来世でセルティより先に僕と出会ったら、好きになるよ。」


 優しくたって大切にされてたって、あの作り話が事実だとしても私には今じゃなきゃ意味がない。新羅の今が欲しいの。それに全部全部嘘じゃないか。


未来も過去もいらないよ



20120407

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