小説 | ナノ


 


 今日告白しようと思うの。なんて言われた、本来だったら引き止めるか応援すればいいのに俺は好きにしたらいいよと彼女に拗ねるように呟いた。


「ばかだ」


 俺は彼女の隣人であり、彼女は俺の友人が好き。簡単に言えば三角関係になる。彼の気持ちは知らないけど


「あ、いたいた」


 校庭の隅の木の傍に二人が居ると影でわかった。橙色に染まる空が導く結果はなんて考えてた。そもそもなんで俺は此処で二人の様子を見なきゃ行けないのか


「はあ、」


 不安だから待ってて。とお願いされて断った、それでも帰ったフリして教室に戻ってきて彼女の鞄と校庭を見つめてる。


「溜め息吐いたら幸せ逃げるっつうの…」


 彼女が校舎へと戻ってくる。彼と一緒にだ、再びさっきの木を見つめ直したそこから数分経った時足音が聞こえた。


「正臣、なんでいるの」


 震える声、緊張してたからなのかと思ったけど顔を見たら違うってことがわかった。俺はこぼしたかった溜め息を堪えた。


「名前が言ったんだろ、待っててって」
「ありがとう、」


 結果なんてどちらにせよ聞きたくない。わがままだしどうせいつか耳に入るのだから。


「やっぱり、滝口くんにふられちゃった」


 彼女の瞳が滲む、泣かれたくないし理由がふられたからなんて見たくもない。雲行きが怪しくなった気がした。


「告白できるだけすごいと思うぜ、いっぱい話し聞くから帰ろう」


 雨を降らすのはきっと彼女だ、俺にはその雫すら愛おしいのに触れることはきっと許されない。


傘になるのは誰だ



20120619

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