彼女が浮気をした。バスケ部のレギュラーの先輩、と聞いた。彼女の浮気は何度目かは忘れてしまいそうだが、本当は覚えていた。覚えているほど気にしていた。傍に居たいと思って、何も言わずに許した。 間違いなのかもしれない。俺だって言えるなら、なんでそんなことを最低だと罵りたかった。彼女の目を見るとそれがどうしてもできなかったんだ。彼女の顔を見れば、ごめんなさいと呟いた。別にもう終わったんだろうと問えば彼女は頷いた。 私いっぱい浮気するけど、なんだかんだいつも日吉くんのところに戻るのはね…私、日吉くんが世界で一番だいすきだからなの。なんて彼女は歪み一つないきらきらとした笑顔を俺に向けた 麻痺させられるような感覚だ、早口でたくさん愛の言葉を囁く彼女。浮気なんて最低だ、と思いながら俺は彼女を愛している。だからまた許すんだ、許し続けるんだ。 「もういい、だから気にするな…」 彼女は誰のものにもならないのかもしれない。それでも俺はきっと特別なのだろう。だから終わることが出来ず壊れたまま。 ずれている 20120120 |