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このバカップル何とかしてくれませんか。



痘痕も靨 番外編
橋姫





「あかん」
「じゃあ何ならいいの!さっきからあかんあかんばっかりじゃんっ」
「丈が短すぎやねん」
「普通だし!学校でもこうだし!」
「…あ?学校でも、こうだし…?」
「ひいいいっ」


ダブルデートしよう、って話になって、服が決まらないと前日の夜に電話が来た。もはや今は当日、時刻は2時。
ちなみにこっちの彼氏はすやすや寝ております。
服が決まらない理由はもちろん、条約の彼氏、財前くんが丈が短すぎるだの胸元開きすぎだの喧しゅうてっちゅうこと。
膝上10cmのスカートはダメだし、ショーパンもあかんらしい。Vネックニットもあかんらしい。
条約もうちもいまどきの子やから、学校のスカートは短いし、ワイシャツもブラが見えない程度にボタン2つは開けてる。
ていうか何故に財前くんおんねん。



「そ、そんな長いスカートなんかはいたらそれこそ目立つじゃん」
「短すぎて目立つよりマシや」
「うっさい!もうこれとこれにしい!財前くんのためにこの間買うたやつやからな、もう短すぎるとか文句なし!はい、寝る!んで誠二は起きる!」
「何や、やっと終わったん?」


ぎろり、財前くんが誠二を睨んだ。

誠二は結構肝が据わってるから、へらへらとかわして条約に何着てもかわええよ、香歩には負けるけどとか都合よさそうなこと言ってる。
何か企んでる気がして気持ち悪い。


「矢野はほんまにおうさ…香歩ちゃんのこと好きやな」
「何で今名前に変えたん?名字で呼べ!」
「「「矢野」」」
「俺やないわ!香歩や!そして財前だけや!」
「誠二うるさい」


条約の一言は、誠二をベルばらの主人公のショック顔に変身させることを可能にした。

うちと誠二の付き合いは友情の延長で、相変わらずだからか誠二もうちもよく告白される。まあよくって言うても、2ヶ月に1回くらいやけど。
お互い今日も告られてもうた〜罪過ぎるわ!とかくだらないこと言い合うような感じで、ヤキモキとは程遠い。
それに比べて財前くんと条約カップルは、恋愛!っていうオーラがよう出てる。
条約はもともと関東出身やから、こっちでは控え目な方であまり告白されないし、男の子とも親しくしない(あまり、って言わへんわ、割と喋ってる)。
財前くんはモテモテやけど、公開告白された(かわいそう)ときに、財前くん自身も彼女いるし超好きやからて公開宣言したらしい。
やっぱり財前くん、誠二とは格が違う。

誠二はな、告白されたとき何故か知らんけど、ちょっと溜めてから謝んねん。彼女おるとか言うてくれへん。まあうちも言わへんのやけど。


「ほな、俺ら帰るわ」
「え、泊まっていきなよ。どうせ明日会うんだし、てかもはや今日だし」
「…条約、さっきから玄関に向かって俺を蹴ってくる財前くんが見えんのか?あーん?」
「うわ、めっさ腹立つんやけどその、あーん?が」


条約はけらけら笑いながら似てない、とかなんとか。
もちろんうちらは帰るんやけどね。そんな野暮ちゃうしー?

「ほな、あとでね」



条約は可愛らしいルームウェアを着て、うちらを見送ってくれた。
誠二も条約みたいにピンクが似合う女の子好きになればええのに、何でうちなんやろ。嫉んでるわけちゃうけど、条約のそばにおると自分の男気が浮き彫りになるような気がする。



「まーた眉間に皺寄せよって。ろくでもないこと考えんのやめや」
「何やねん、ろくでもないことって。うちにとってはダイヤモンド並の悩みやねん」
「そら大変やな、話してみい」
「いや」


くだらない、ひと時。
誠二とは格が違う財前くんは、こんな空気もピンク色にしてまうんやろうな。



「ま、どうでもええけど」
「はああ?!彼女の悩みどうでもええってどういう神経してんねん!」

「明後日、告白の返事すんねんけどなー、迷ってんねん」

…は?迷っ、てる?



待って、ちょお落ち着きましょ。うち、このどうしようもない馬鹿と付き合うてるよな?うん、そうや。迷う?何を迷うねん。



「財前の真似、してええやんな?」
「…真似?」


「俺、彼女のことめっちゃ好きやからごめん」


格が違うなんて言うてごめんなさい。ピンク色にしてくれてありがとう。
誠二に抱き着くと条約の匂いがしたけど、許したろ。






月曜日、昼休みの地獄
(香歩たちラブラブだね〜)(何で放送してんねん恥ずかしい…っ)



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前半は財前と主人公ちゃんのラブラブっぷりを見せたかっただけ





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